株式会社 JTB法人東京 グローバル人財育成担当部長、東日本国際交流センター所長
鶴田 雄次郎氏
グローバル人材に必要な力とは、「語学力・コミュニケーション力」「異文化対応力」「主体性・実行力」の3つであると考えます。この3つの力を高めるには、グローバルの環境下での体験・経験が重要と考え、JTBで長年の研修旅行や体験交流活動などで培ってきたノウハウを活かし、国内外を問わず幅広い「体験型グローバル人材育成研修」を開発しました。異文化対応力アセスメントや、アジアでのビジネス体験研修をご紹介します。
旅行会社の利点を生かしながら、『気づき』を得る「場」を創出
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
鶴田:今回の講演では、体験型グローバル人材育成に関してお話いたします。3~4年ほど前より多くの企業様から、海外でのグローバル人材育成プログラムに関するご要望をいただいています。その理由についてうかがいますと、「座学ではグローバル人材は育成できない」と口を揃えておっしゃいます。
弊社では長年、学校法人の海外研修や留学に携わってきましたので、グローバルな素養の育成は、体験や経験が重要な事を良く理解しています。企業のグローバル人材育成における課題は、大きくわけて以下の三つだと思います。(1)語学力とコミュニケーション力(2)異文化対応力(3)主体性と実行力です。これらの三つの力を高めるには、グローバルな環境下での体験や経験が重要だと考えます。なぜならば、異文化でのビジネス活動は知識だけではなく、体験・経験に裏打ちされた自律型行動様式が求められるからです。
講演でご注目いただきたい点が2点あります。まず1点目は、今年6月、弊社は異文化の対応力を可視化する、GCAAというアセスメントをリリースしました。アメリカで開発され、現在グローバル企業や政府、学校法人で活用されています。日本語版の制作に時間がかりましたが、日本のグローバル企業33社のご協力を経て、無事に発表できる運びになりました。今後、異文化対応力を語学力と同じように可視化させて、グローバル人材育成に役立てたいと思います。2点目は、ユニークな国内での体験型グローバル研修を開発しました。海外から日本に留学している40ヵ国の学生とテーマ決めて議論し、まとめ、プレゼンを英語で行うプログラムや日本で働いている、現役ビジネスパーソンと出身国(BRICS)のビジネス習慣を、ケーススタディを通じてロールプレイ形式で学びます。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
鶴田:弊社は、旅行会社JTBグループの法人部門です。特徴としては、五つ挙げられます。一つ目は長年学校法人に提供してきたノウハウを活かした、海外への語学研修や留学のアレンジ力です。語学力やコミュニケーション力向上に効果的なプログラムを提供しています。二つ目は年間350万人の海外旅行の実績で蓄積された、研修等の海外オペレーション力です。三つ目は海外32ヵ国84拠点を持つ、ワールドワイドなネットワーク力です。危機管理を含むサポート力で、安全で安心な研修のご提供が可能です。四つ目は研修の企画から航空・宿泊や査証等の海外渡航や海外でのサポートまで、ワンストップサービスの運営です。五つ目は「旅のチカラ」を活用した、現地体験型プログラムのご提供です。以上、旅行会社の利点を生かしながら、『気づき』を得る「場」を創出することができるのが、私たちの特徴です。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
鶴田:座学ではない、体験や経験を重視したプログラムの取組や事例が、多くの皆さまの参考になればうれしいです。また、本講演を契機に、異文化対応力の効果測定をご一緒に研究できる企業が増える事も期待したいですね。
- 株式会社 JTB法人東京
グローバル人財育成担当部長、東日本国際交流センター所長 - 鶴田 雄次郎氏(つるた・ゆうじろう)
- 1985年JTB入社後、教育研修事業に長年携わる。03年から東日本国際交流センターの所長を務め、海外での体験型研修の開発を 行い、グローバルな環境での学習の支援を推進してきた。現在はグローバル人材の対応力についての研究と育成プログラムの開発に従事。留学語学研修等協議会(CIEL)の会長も務める。
- 日本の人事部「HRカンファレンス」事務局
- 〒107-0062 東京都港区南青山2-2-3 ヒューリック青山外苑東通ビル6階
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