2000年代前半にS・ジョブズ氏から直々に口説かれ、苦境にあえぐApple Japanの代表に就任した、山元氏。米国本社からの大きなプレッシャーの下、セブン・イレブン・ジャパンでのiTunes Cardの販売など、画期的な改革を推し進め、本社幹部も認める数多くの実績を上げてこられました。では、具体的にどのように改革を行なわれたのでしょうか――。本セミナーでは、Apple JapanのV字回復を実現した組織変革について、リーダーシップの観点からお話しいただきます。
元アップルコンピュータ株式会社 代表取締役社長、株式会社コミュニカ 代表取締役
山元 賢治氏
【ファシリテーター】
リ・カレント株式会社 代表取締役 石橋 真氏
山元 賢治氏
石橋 真氏
企業が変わることは、人事部門が変わること
――講演を通じて、それを実感してほしい
石橋:なぜ、アップルに参加しようと考えたのですか。
山元:理由は二つあります。一つはスティーブ・ジョブズをはじめとした天才たちと仕事がしたいという思いから。もう一つは私自身、ずっとBtoBの畑にいたのですが、ビジネス人生においてBtoCも学びたいという思いからでした。何より、私自身ジョブズと会って、彼のファンになってしまったというのも大きいですね。この経緯は、ぜひ講演でも触れたいと思います。
石橋:就任してからの反応や様子はどんなものだったのですか。
山元:実は着任するまでは日本のオフィスに一度も足を運ぶ機会がなかったのですが、当時は、今のアップルのイメージからは程遠いものでした。社員は自信をなくし、何をやってもうまくいかない……そんな雰囲気が蔓延していました。私がはじめて全社員向けにスピーチした際も、7割は「外からきた社長に何が出来るんだ」といった心持ちだったと思います。まさに変革の戦いが始まった瞬間。そんな感じでした。
石橋:なるほど。その戦いの中で、さまざまな手法、アプローチを駆使して、アップルをV字回復させていくわけですが、いったいどんな手をとられたのですか。
山元:元々私は、業界から見たら素人ですから、そんな突飛なことは何も出来ません。それに、就任してから9ヵ月間の業績は復活とは程遠いものでしたから、アメリカ本社からすれば、せっかく採用したのに何をやっているんだと非難轟々でしたね(苦笑)。そんな中、私が徹底して行い抜いたことの一つは、話を聞くことです。ポジティブなこともネガティブなことも、徹底的に「聴き」に回りました。幸いにも、社内には非常に有能な若手が数多くいて、私としては彼らを積極的に活躍の舞台を与え、リーダーとしての経験を積ませたいと考えていました。
それと同時に、今までマネジャーやリーダーとして頑張ってこられた方々にも引き続き活躍してほしい。そう考えていましたので、話を聞く中で、面談相手は何が出来るのか、得意分野は何なのか、どんな形で会社に貢献することが望ましいのかということをすり合わせ、改めて各メンバーと会社での役割のコンセンサスを取っていきました。この作業を行いながら、かつ改めて社員達に自分たちの製品は素晴らしく、やっていることに誇りをもって良いということを訴えていきました。この行動を継続していくことが、売り場の改革、販売店パートナーとの連携、そして社内の体制作りといった組織変革につながっていったのだと思います。
石橋:ありがとうございます。今回は取り組みの一端をお話いただきましたが、講演当日はこの組織変革の流れの全容を、裏話も交えてお話いただきますので楽しみにしていて下さい。最後に、講演参加者に向けてメッセージをお願い出来ますか。
山元:今回お伝えするお話は私の実体験に基づくものなので、現場での体験や取り組みの お話が多くなりますが、改めて振り返ると人事の方が担当されているような役割と近しい内容も多いと思います。その中で、現場がどうなっているのかを知ることは非常に重要なことだと感じています。人事の方もどんどん現場に関心を持って、理解しに行って下さい。 企業が変わるというのは、人事部門が変わることだと思っています。当日お会いできることを、楽しみにしています。
- 元アップルコンピュータ株式会社
代表取締役社長
株式会社コミュニカ 代表取締役 - 山元 賢治氏(やまもと・けんじ)
- 1959年生まれ。神戸大学工学部システム工学科卒業後、日本IBM 株式会社入社。1995年 日本オラクル株式会社入社、2002年 日本オラクル株式会社専務執行役員、2004年 アップルコンピュータ株式会社 代表取締役兼米国アップルセールス担当バイスプレジデント。2009年 コミュニカ設立。
- 【ファシリテーター】
リ・カレント株式会社 代表取締役 - 石橋 真氏(いしばし・まこと)
- 1989年(株)リクルート入社。2000年独立、(株)e-Ci設立。2007年代表取締役を解任となったキャリア喪失経験を経て、リ・カレント株式会社を創業。自身の失敗経験を基にして「リーダーシップとフォロワーシップの相乗効果でチームワークをつくる」というメッセージを打ち出し、人材・組織開発サービスを展開中。
- 日本の人事部「HRカンファレンス」事務局
- 〒107-0062 東京都港区南青山2-2-3 ヒューリック青山外苑東通ビル6階
- E-mail:hrc@jinjibu.jp