株式会社ジェイフィール 代表取締役
高橋 克徳氏
「不機嫌な職場」では、負の感情の連鎖が起きています。それがお互いの関係を希薄にし、個々人を追い込んでいく。逆に「ご機嫌な職場」では、良い感情の連 鎖が生まれ、個々人が異なる仕事をしていても、みんなで乗り越えていく力がある。なぜ、こうした職場の違いが生まれるか。約1300職場、2万人の組織感 情診断の分析結果をもとに、つながり力、組織力を引き出すマネジメントへの転換方法を具体的にお伝えします。
日本人の強み・弱みを基に考える「人づくり、組織づくり」とは
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
高橋:今回は、約1300の職場で2万人に実施した「組織感情診断」の結果を基に、「不機嫌な職場」と「ご機嫌な職場」の違いはどこにあるか、どうしてこの違いが生まれるのか、どうすればお互いの力を引き出しあって組織力を発揮できる職場に変えていくことができるのかについて、お話します。
この20年間で仕事の仕方、職場環境は大きく変わりました。個々人が自分で考え、自力で成果を出す力が求められる時代になったのです。しかし、気がつくとみんな自分の仕事で精一杯で、必要な時に周囲の力を借りることもできない、自力でやるしかないと抱え込み、つぶれる人が出てしまう。これでは、人は成長しないし、新たな動きも生まれません。日本企業の閉塞感の原因はここにあります。
昔のように、目標に向けてみんなで力を合わせても、ビジネスの多様性、専門性に対処できない。かといって、これ以上個々人が抱え込んでいても、知恵は出ないし、リスクも大きい。ではどうすればよいのでしょうか。それは、集団主義への回帰でも、個人主義への偏重でもなく、関係主義に基づく新たなマネジメントへと転換を図ることだと思います。個々人が成果を出すために、必要な時にすぐに手を差し伸べ、知恵を出し、連携していく。個人戦をみんなで戦っていく。そんな新たなマネジメントに変えていく。それらをどうマネジャー教育に落とし込むのか、組織づくり運動として全社展開していくのかについて、事例を含めてお話します。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
高橋:「仕事が面白い、職場が楽しい、会社が好きだ」ということを子供たちの前で堂々と語れる大人を増やしたい。そんな思いを実現するために、組織改革や人材育成の専門家が集まって創った会社がジェイフィールです。
親会社で、サザンオールスターズや福山雅治が所属するアミューズの「人の心を動かす技術」を活用して、「感情」「つながり」を起点にした人と組織の変革に向けた研修、ワークショップ、コンサルティングを行っています。
マネジャー教育も、ヘンリー・ミンツバーグ教授の「マネジメントは経験の科学である」という思想に基づいて世界中で展開されている「リフレクション・ラウンドテーブル」というプログラムを日本に導入し、マネジャー同士が継続的にコミュニケーションしながら、互いの経験から学び、助け合い、知恵を出し合う関係に変わる支援をしています。「つながり力」の再生が、個を支え、組織を強くする。そんな活動を支援しています。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
高橋:日本人の強みとは、震災の際に世界中から言われたことですが、自分が大変な状況でも冷静に目の前の困っている人のために行動を起こせること。日本人の弱さとは、すぐに悲観的になること、口に出さずに閉じこもること、リーダーに期待しすぎてリーダーを支える、育てるという気持ちが足りないこと。
これからの人事や人材育成に関わる人たちの役割とは、こうした日本人の強みを最大限に引き出し、グローバル視点で日本人の弱さを補完していくという「人づくり、組織づくり」ではないかと思います。自分自身に、また、自分たちのやっていることに自信を持って、前に突き進める人をつくるために、一緒に頑張って行きましょう!
- 株式会社ジェイフィール
代表取締役 - 高橋 克徳氏(たかはし・かつのり)
- 野村総合研究所、ワトソンワイアットを経て、ジェイフィール設立に参画。「組織感情」という概念を広め、世の中に良い感情の連鎖を起こすべく、講演活動などを積極的に行っている。
【著書】「不機嫌な職場」(講談社現代新書共著)「職場は感情で変わる」(講談社現代新書)「人が『つながる』マネジメント」(中経出版)
- 日本の人事部「HRカンファレンス」事務局
- 〒107-0062 東京都港区南青山2-2-3 ヒューリック青山外苑東通ビル6階
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