講演者インタビュー
言うべきことを言ったらハラスメントなのか?
上司と部下の信頼関係を再構築し、再発を防止する施策と事例
ピースマインド株式会社 EAPコンサルタント/公認心理師/臨床心理士
武田 英彦氏
ハラスメント防止と被害者保護の強化が期待される一方、「何でもハラスメントと言われ指導が難しい」「グレーケースの事案化でハイパフォーマーが離職した」など新たな組織課題も生まれています。そこで本講演では、行為者の意識と行動を変えるコーチングを実践するコンサルタントが、無自覚な言動が思わぬ問題に繋がるリスクを防ぐための上司・部下間における信頼関係の構築方法と、具体的な再発防止策を事例を交えて解説します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
パワハラ防止法が義務化された2022年4月以降、各企業は社内のパワハラ問題に積極的な対応を行うようになりました。その取り組みはパワハラの抑止に大きく貢献していると思われます。
一方で各企業を悩ませる別の問題が生じています。社員が困りごとを「パワハラ事案」として申立て問題が顕在化しやすくなるとともに、多種多様な 案件が「ハラスメント事案」として取り扱われるようになりました。
いわゆる「グレーゾーンのハラスメント」と呼ばれるものへの対応 です。管理職は指導とハラスメントの問題に悩み、部下への対応に葛藤を抱いたり、消極的になったりすることもあります。また、人事担当者は、「これはハラスメントなのか?」と疑問を抱く 事象に対しても、対応をせざるを得ません。
本講演では、あらゆる問題を「ハラスメント事案」として対応 しなければならない状況に葛藤する担当者に向けて、対応のポイントを解説します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
パワハラ問題が注目されるようになってから、企業人事の皆さまから次のような声を聞くことが増えました。
●上司の些細な言動を、ハラスメントと訴える社員の対応に苦慮している。当事者間で解決してほしいが、立場的に対応せざるを得ない
●本人に自覚のないグレーゾーン的な言動がハラスメントとして事案化し、ハイパフォーマーの管理職のモチベーションが低下している
このような課題に、どう対応すべきか悩んでいる方も多いと思います。そこで本講演では、ハラスメント行為者の「意識の変容」はどのようなアプローチによって生じるかにフォーカスします。ハラスメント問題は行為者の「行動変容」が重視されがちですが、意識の変容なき行動変容は「仏作って魂入れず」の状態にすぎません。
信頼関係のない上司と部下の間では、無意識な言動が思わぬハラスメント問題につながるリスクがあります。問題を根本的に解決してハラスメント事案の発生を防ぐためには、信頼関係の構築が不可欠です。その鍵である、「意識の変容」について紹介します。
講演では、次のようなポイントを解説します。
●2022年4月のハラスメント法制化以降、ハラスメント問題が職場でどう扱われているか、それに伴う事象の変化などを実例に即して解説
●ハラスメント問題の解決に不可欠な、上司と部下の信頼関係の構築について、弊社のハラスメント相談窓口に実際に寄せられた相談内容やコーチング事案などをベースに解説
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
現在、企業の人事やコンプライアンス担当の皆さまの多くは、ハラスメント対策に力を入れていることと思います。その結果として、皆さまの職場は働きやすい環境になりましたか? 上司と部下の関係は以前よりも円滑になりましたか? そうであればそのハラスメント対策は有効と考えられます。もしそうでなかったとしたら、「ハラスメント問題が生じない職場とはどのような職場なのか」今一度考える必要があるかもしれません。
本講演では、社員間での礼節の欠如(インシビリティ)をなくし、お互いを尊重(リスペクト)する関係性を構築するには何が必要か? 職場で実践できるヒントを紹介します。ぜひご参加ください。
- 武田 英彦氏(たけだ ひでひこ)
- ピースマインド株式会社 EAPコンサルタント/公認心理師/臨床心理士
- 国立精神・神経医療研究センターでの臨床検査、東京都知事部局において、職員のメンタルヘルスケアに従事。その後、ピースマインド株式会社に入社。現在、EAPコンサルタントとして社員と企業向けのコンサルティング業務を担当。
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