講演者インタビュー
ミドルマネージャーを助ける生成AIの可能性
チーム内の説明コストが下がる共通認識の作り方
ストックマーク株式会社 CMO
田中 和生氏
ビジネスの複雑性と個人の多様性が高まる中、情報共有のハブとなっているミドルマネージャーの説明コストは肥大化し、メンバーからは「昇進したくない」という声が挙がっています。本講演では、人的資本でも話題となる女性管理職比率やワークライフバランス、メンタルヘルスにも直接影響するミドルマネージャーの働き方について、生成AIによって説明コストが低減された上司と部下の新しい関係性をご紹介いたします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
計測しやすいデータ開示に留まっている、今の人的資本経営に疑問を持っている人事部および経営者・管理者の方に聞いて頂きたい内容です。
研修金額や研修時間、女性管理職比率などのデータは開示しやすく、ステークホルダーに分かりやすい指標です。一方で、人的資本経営の人材育成において大きな役割を果たすミドルマネジャーの採用・育成・昇進・定着は、多くの企業で課題と認識されながらも、その指標化や課題解決に向けた要因分析が進んでいないと認識しています。まず、着目すべきはミドルマネージャーの業務実態です。
ミドルマネジャーの業務を客観視することで、多くの会議時間、具体的には説明時間が重複し、ストレスになっている実態が見えてきました。本講演では、ミドルマネジャーになりたくない要因をインタビューデータをもとに解説しながら、生成AIによってこれらの課題が解決可能である点をご紹介致します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
今回の講演テーマを取り上げた背景は、ミドルマネジャーからの悲痛な思いからでした。
当社は、大手企業のミドルマネジャーの方とよくお話しします。多くの方が早朝から夜遅くまで、チームの仕事をマネジメントしながら、部署横断の会議に参加し、残りの時間で自分の実務をこなすという非常に多忙な日々を過ごしています。加えて、人的資本経営の新しい取り組みや生成AIの活用など、新たなミッションが増加し、負担は増すばかりです。
その中で、時間を取られている業務を伺うと、「会議」という声が多数を占めました。実際に、ミドルマネジャーの業務時間の2割が会議であるというデータもあり、その会議が少しでも短縮できれば、既存業務の質の向上、新規業務への取り組み、ワークライフバランスの適正化など、多くのメリットがあります。全ての会議が不要とは考えませんが、お互いに情報を理解していれば不要となる情報共有・認識合わせだけの時間はもはや不要です。
チーム内外に同じ内容を説明し続ける説明コストは、精神的・時間的にも大きく、これが当たり前になっている働き方は変えるべきです。従来は難しいと考えられていた共通認識の醸成によって、ミドルマネジャーの業務負担が軽減できれば、ミドルマネジャーの希望者も増え、企業としても新しいことに挑戦できる環境を構築できるようになります。その考え方が今回のポイントです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
今回は、企業の中でも特に負担が集中するミドルマネジャー向けの講演としました。本講演を受講頂く前に、ミドルマネジャーの皆さまと、チーム内外の共通認識づくりの課題について議論して頂けると幸いです。
情報過多の時代に、同じチーム内において共通認識を作り、会社の方針を浸透させることがどれだけ大変になっているかを改めて理解する機会になると思います。何か新しいことを始めるためにも共通認識の基盤を作り、ミドルマネジャーの説明コストを下げることが重要であるとを皆さまにお伝えできればと考えております。
- 田中 和生氏(たなか かずお)
- ストックマーク株式会社 CMO
- 学生時代に宇宙領域で起業するも断念し、日本能率協会コンサルティングで10年間、製造業中心に企業改革や事業開発を支援。その後VALUENEXにて事業開発責任者を務めた後、ストックマークのPMMとして、プロダクトのグロースや日経BP等での執筆を実施。プロダクトオーナー、執行役員を歴任し、現在に至る。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
当社はプライバシーマーク取得事業者です。類似のサービスやイベントとの混同にご注意ください。