講演者インタビュー
臨床心理士と考える、1on1の効果的な運用 ~エンゲージメントを高める対話の実践法~
株式会社リーディングマーク 組織心理研究所 所長/臨床心理士・公認心理師
佐藤 映氏
多様な働き方が増えた中で「1on1ミーティング」は、多くの企業で制度導入されています。一方で、「なかなか本音で対話できていない」「数値報告だけで終わってしまう」など、進め方に課題感のある管理職や人事もまだまだ多くいらっしゃいます。そこで今回は、臨床心理士・公認心理師の講演者が、目的に合わせた面談設計や面談でのコミュニケーションの取り方など、1on1の具体的な実践方法をお伝えします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
本講演は、社員との面談を良い時間にできていなかったり、管理職とその部下の人間関係が良くなく、結果的に社員のエンゲージメントが上がらず、離職や休職を招いていたり する企業の管理職や人事の方向けの内容です。
多くの企業で導入されている1on1ミーティングは「コミュニケーションが増えた」というポジティブな意見がある一方で、「どう面談すればいいかわからない」「本音を引き出せない」「数値確認で詰める時間になっている」などと課題を感じている声も多くお聞きします。
そこで本講演では、1on1を具体的にどう進めればいいのか。関係性が出来ていない状態から、対話の質を高め、従業員のエンゲージメント向上により離職や休職を防いでいく方法について、臨床心理学の観点から解説します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
1対1での面談はすべて「1on1」と呼ばれていますが、面談は目的や意図を明確に意識して実施すべきものです。例えば、仕事の進捗を一緒に確認する時間なのか、仕事で困っていることの相談に乗る時間なのか、人間関係についての悩みを聞く時間なのかなど、目的によって実施すべき面談の内容や雰囲気も変わってくるものです。
人事部としては、現場で個別面談がうまく機能しているのか、適宜サポートできると良いですよね。管理職任せにすると、個別の面談スキルの違いによって、チームごとに組織状態がまちまちになってしまいます。昨今は管理職の方のマネジメントスキルが足りていないという課題を持つ企業は少なくありません。どのようなスタンスで面談を実施すべきなのか。上司や部下の心構えを醸成するためにも、人事部として「1on1のススメ」を提示できると良いでしょう。
本講演では、1on1ミーティングについて、実際の面談の目的別の雰囲気づくりや、面談の流れで何をどう聞いていくべきなのか、声掛けやアドバイスの仕方など具体的にお伝えします。人事部から現場への共有・発信内容としておすすめです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
1on1は、ただ実施するだけで効果がある施策ではなく、やり方を間違えると逆効果になってしまう施策です。関係性によっては、ハラスメントを助長してしまう可能性もあります。
一方で、正しく社員一人一人の状況に合わせた1on1を企画・運用することができると、コミュニケーションや人間関係が活発になり、その空気がチーム全体に広がっていきます。
メンバーの支援は事業目標のように成果を可視化しづらいため、優先度が下がりがちですが、ここを改善することで、従業員のやりがいや生産性は飛躍的に向上します。ぜひご参加いただき、ヒントを持ち帰り活用してもらえたらと思います。
- 佐藤 映氏(さとう うつる)
- 株式会社リーディングマーク 組織心理研究所 所長/臨床心理士・公認心理師
- 京都大学大学院 教育学研究科 博士後期課程(研究指導認定退学)。修士(教育学)。京都文教大学で教鞭をとった後、2020年に現職入社。「ミキワメ」の性格検査、ウェルビーイングサーベイの設計責任者を務め、臨床心理学の専門性をもとに組織や人事の支援を行う。
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