講演者インタビュー
『両立思考』でひもとく管理職育成。組織の矛盾した課題に向き合うアプローチ
アルー株式会社 エグゼクティブコンサルタント/京都大学経営管理大学院 客員准教授
中村 俊介氏
長期的なパーパスと短期的利益、既存事業と新規事業、業績と働きやすさなど、困難な両立課題が管理職中心に企業全体に突きつけられています。人事はこの状況にどう向き合うべきでしょうか。本講演では、国内外で様々な賞を受賞している『両立思考』の監訳者が、近年経営学で注目されるパラドックス・マネジメントの考え方を軸に、企業内に存在する相反する課題に向き合える管理職の育成、組織力強化へのアプローチをお伝えします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
昨今、管理職になりたくないという人が増えています。管理職業務の難易度が上がっていることも、その理由の一つです。
なぜ難易度が上がっているのでしょうか。 その背景には、優先順位が決めやすい“択一課題”であったものが、世の変化によって“両立課題”となっていることが挙げられます。例えば、「組織成果」と「部下のキャリア志向性」が異なるとき、過去の管理職は「組織としてやるべきことが優先である」として業務を遂行できました。一方、現在の経営環境においては、エンゲージメントや自律的キャリア形成が重視されることから、「組織成果」と「エンゲージメント向上や自律的キャリア」の両立が求められるようになりました。
その他にも「パーパスと短期的利益」、「既存の深化と新規の探索」など、さまざまな“両立課題”が管理職に突きつけられています。本講演は、そんな状況に従来と異なるアプローチを知ることでヒントを得たい、という方にお勧めの内容です。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
本講演では、まず昨今経営学で注目を浴びるパラドックス研究について、その潮流とポイントを、経営思想のアカデミー賞Thinkers50でベストマネジメントブックの一冊に選ばれた『両立思考 「二者択一」の思考を手放し、多様な価値を実現するパラドキシカルリーダーシップ』(日本能率協会マネジメントセンター)を基に解説します。
その上で、その視点を取り入れたときに管理職育成がどう変わるのかを、実際のプログラム 基に紹介。また、組織のエンゲージメント向上に向けて取り組んだ組織開発のプロジェクトにおいて、「両立思考」の視点がどう活用されたのかについてもお伝えします。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
『両立思考』で紹介されているパラドックス研究は、これからの時代に必ず必要になる視点を提供してくれるものです。 しかし、本を一度読んだだけでは理解が難しいという声をもらうことがあります。 本講演では、両立思考の理論、それを活用した事例も交えてお話しすることで、なるべくわかりやすくお伝えします。ご期待ください。
- 中村 俊介氏(なかむら しゅんすけ)
- アルー株式会社 エグゼクティブコンサルタント/京都大学経営管理大学院 客員准教授
- アルー株式会社では納品責任者、インド法人代表などを歴任し東証マザーズ(現グロース)上場に貢献。数々のリーダー育成、組織開発のプロジェクトに携わるほか、京都大学経営管理大学院で教鞭をとる。監訳:『両立思考 「二者択一」の思考を手放し、多様な価値を実現するパラドキシカルリーダーシップ』(JMAM)。
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