講演者インタビュー
上場企業の現役HRBPと語る、エンゲージメント向上と事業上の成果につながる組織開発の進め方
株式会社インヴィニオ 代表取締役/組織能力開発ストラテジスト/日本CHRO協会 主任研究委員
土井 哲氏
組織開発を進めた結果、メンバー同士の関係性は良くなったが、事業へのインパクトを与えるまでには至っていない。という相談を多くいただきます。本講演では、現役HRBPの方と共に、人事主導で取り組んだ関係性の改善プロジェクトの事例や、成果を出す組織に欠かせない「価値創出に必要な組織能力の言語化・可視化」の具体的手段を解説。「関係性が良くなった」で終わらせない組織開発の進め方を2つのステップから紐解きます。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
以下の二つのタイプの方が対象です。
一つは、経営から業績改善を求められている一方で、社員のエンゲージメントの改善も図らなければならないという、一見矛盾する課題を解決する方法を模索されている方。エンゲージメントを構成するのは「貢献実感」と「成長実感」です。会社として目指すべきことを、いかに社員の志や自発的な意思とひもづけて貢献実感、成長実感につなげるのか、そのヒントを提供します。
もう一つの対象は、人的資本経営への転換が叫ばれる中で、事業戦略と人材戦略の連動を実現したいとお考えの方です。事業を実現するため、これからどのように活動していく必要があるのか、その活動の実行にはどんなスキルをもった人材がどのくらい必要となるのか。戦略と人材をひもづけるヒントを提供します。
いずれも鍵を握るのは「組織能力」という概念です。この概念を理解することで、課題の解決に近づくことができます。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
上記の課題の解決に、システムコーチングと活動システムマッピングという二つの手法の組み合わせが極めて有効であることを示すのが、本講演のポイントです。別の言い方をすると、組織開発には二つの段階が必要で、しっかりと建物を支える基盤を作る「地ならし」の段階と、地盤が固まったところで建物を建てる段階の二つを経る必要がある、ということです。
理念やビジョンの浸透、組織文化変革、エンゲージメント改善など、組織開発に関するテーマに取り組んでいる企業は多いと思いますが、地ならしもせずに高い建物を建てようとすると、建物が傾いてしまう可能性があります。かといって、地ならしだけしていては、その上に何も構築されません。
今回ご紹介する事例は、二つの段階を経て組織能力開発に取り組むことの有効性を示しています。前半の事例では社内HRBPを中心に、システムコーチングの手法を用いて、工場長、中間管理職、現場の社員間の関係性を改善しコミュニケーションの質を大幅に改善することに成功しました。後半の事例は、ビジョンを全員で言語化し、活動システムマッピングという手法を用いて、ビジョン実現にむけてどのような「組織能力=一連の活動」が必要となるかを具体化し、各課の役割、各人の役割を明確にしていきました。適切な手法を順番に適用することで、現場を中心にした組織能力開発が可能となります。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
最近、HRBP制度を導入する企業が増えています。一方で、「どこからスタートすればよいかわからない」「事業部門とどのように関係を築いたらよいかわからない」といった声もお聞きします。
本講演に登壇する水戸氏はシステムコーチングを学び、その手法を用いながら、情熱をもって企業変革に取り組んで来られました。戦略人事あるいはHRBPとして、どうすれば事業に貢献できるのか、その糸口を探していらっしゃる方にとって、ロールモデルになるのではないかと思います。水戸氏の活動と弊社の組織能力開発プログラムを組み合わせることが大きな成果につながると、感じていただければ幸甚です。
- 土井 哲氏(どい さとし)
- 株式会社インヴィニオ 代表取締役/組織能力開発ストラテジスト/日本CHRO協会 主任研究委員
- 84年東京大学経済学部卒業後、東京銀行に入行。在職中に米国MITスローン経営大学院にてMSを取得。92年McKinsey & Co.に入社、通信業界、IT業界のコンサルティングに従事。97年にインヴィニオの前身である(株)プロアクティアを設立。以来、人材開発・組織開発分野のコンサルティングに従事。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
当社はプライバシーマーク取得事業者です。類似のサービスやイベントとの混同にご注意ください。