講演者インタビュー
人的資本の最大化を実現する「組織内リスキリング」とは?
法政大学 キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事
田中 研之輔氏
最近さらに注目が高まっているリスキリング。「DX人材育成」や個人が自主的に好きなことを学ぶ「学び直し」と同義語と捉えてしまうことも多く見られますが、本来は労働移動全般を指す概念であり、企業ごとに適切な労働移動を促進するための重要な組織戦略です。本講演では法政大学の田中研之輔先生をお招きし、人的資本の最大化に向けた労働移動としての「リスキリング」促進のポイントや具体的手法を解説します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
本講演は、リスキリングについて正しい理解を深め、社員のキャリア自律を促進したい経営者や人事担当者におすすめの内容です。
岸田首相が5年で一兆円を投じると表明し、注目が高まっているリスキリング。
しかし、「リスキリング=DX人材育成」と捉えたり、個人が自主的に好きなことを学ぶ「学び直し」と同義語と捉えてしまうことも多く、リスキリングの重要性や方法が正しく浸透していない現状があります。
実際はデジタルの文脈だけでなく労働移動全般を指す概念であり、解雇が比較的難しい日本においては、非常に重要な組織戦略です。
さらに、2030年には約640万人の労働力が不足すると予想され、労働市場から人材を獲得することが難しくなる中で、既存の社員をリスキリングし、最適配置を行っていくことが必要です。
人的資本情報の開示も含め急速な変化が起こるいま、リスキリングの重要性からポイントまで具体的にご紹介します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
本講演は、 大手企業を中心にエンゲージメント向上、キャリア自律促進など、組織と個人の関係性に関わる課題解決に多数の支援実績があるNEWONEと、NEWONEの顧問でもあり組織内キャリアから自律型キャリアへのトランスフォーメーションを研究する法政大学の田中研之輔教授のクロストークが見どころです。
加速度的に注目されている「リスキリング」の本質を明らかにすることを主題としながら、昨今のHR領域の重要キーワードである「人的資本経営(人的資本の最大化)」「エンゲージメント」「キャリア自律」などとの関係性に言及します。
また、リスキリング促進のポイントとして「経営戦略と人材戦略のひもづけ」「人材のポートフォリオ分析と異動できる仕組みづくり」「社員のリスキリングに対する意欲の喚起」といった点に注目しながら解説します。
最終的には、「リスキリング=DX促進」といった狭義の意味ではなく、人的資本の最大化に向けた労働移動としてのリスキリングの具体的な方法についてもご紹介します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
2023年は人的資本経営アクション元年です。今、人事に求められているのは、人的資本の情報開示に向けた計画的な準備と、人的資本の最大化です。特に、人的資本の最大化には、主体的なキャリア形成と戦略的リスキリングによる組織内キャリアから自律的キャリアへのCX(=キャリアトランスフォーメーション)が欠かせません。本セッションでは、キャリア開発の最先端の知見(=理論)と、企業内リスキリングの取り組み(=実践)を 具体的にフォーカスしていきます。2023年のアクションプラン構築のヒントにしていただければと考えています。
- 田中 研之輔氏(たなか けんのすけ)
- 法政大学 キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事
- Berkeley元客員研究員。University of Melbourne元客員研究員。専門はキャリア論、組織論。株式会社NEWONE顧問他、社外取締役・社外顧問を27社歴任。著書25冊『先生は教えてくれない就活のトリセツ』等。専新刊『プロティアン』。最新刊に『ビジトレ』他メディア多数連載。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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