講演者インタビュー
2023年、ビジネスケアラー政策本格始動
データから読み解く仕事と介護の両立支援施策のポイント
株式会社リクシス 代表取締役副社長
酒井 穣氏
仕事と介護の両立に苦しむビジネスケアラーの数は、今後3年で数倍に膨れ上がり、人類史上かつてない高齢化の影響がいよいよ顕在化します。緊急性を増しているビジネスケアラー対策のポイントは「半強制的な情報提供と正しい危機感の醸成」「管理職のリテラシー向上」「介護の相談がしやすい組織風土づくり」の3つです。本講演では、自身も30年以上にわたる介護経験をもつ酒井が膨大なデータとともに解説します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
以下のような課題をお持ちの方におすすめの講演です。
・仕事と介護の両立支援に関する他社事例に関心のある人事マネージャーの方
・ほとんど利用されていなかった介護相談窓口が「キャンセル待ち」になった企業の人事マネージャーが具体的に何を行なったのかを理解したい方
・仕事と介護の両立に苦しむビジネスケアラーに関するビッグデータから客観的に導き出される、(1)仕事のパフォーマンスへの悪影響、(2)メンタルヘルス問題の増加、(3)今後3年のビジネスケアラー出現率、などに関心のある方
・仕事と介護の両立に対して、どのように対応すべきか悩んでいる人事マネージャーの方
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
仕事と介護の両立に関して、急速に増加しているビジネスケアラーたちが求めているのは「仕事を休まずに、介護を安定的に運用するための具体的な方法」です。介護には毎月平均で8万円程度のお金がかかり、いつ終わるかもわからないため、仕事を休んでいたら家計が破綻してしまうからです。
こうした事実に対して、少なからぬ人事部は「休みやすい柔軟な職場」で対応しようとしています。ここに、ビジネスケアラーの真のニーズと人事部の施策の大きなミスマッチが見られます。結果として、介護休業制度の利用率は5%以下になるケースが多く、介護離職に関しても実際の出現率は低くなっています。
しかしその裏で、仕事と介護の両立によって仕事のパフォーマンスを低下させている従業員が増えています(ビジネスケアラーの約半数は仕事パフォーマンスを低下させています)。介護休業制度の利用率が低く、介護離職も少ないという事実は、企業における介護問題の重大さを誤解させる要因になっています。
そして「数年以内に親の介護が始まる」と予測するビジネスパーソンは50%を超えようとしているのです。こうした背景を正しく理解し、両立支援に成功している企業人事が実践しているのは、制度によるビジネスケアラー支援ではなく、「仕事を休まずに、介護を安定的に運用するための具体的な方法」を伝える教育と情報提供によるビジネスケアラー支援です。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
仕事と介護の両立に関して、急速に増加しているビジネスケアラーたちが求めているのは「仕事を休まずに、介護を安定的に運用するための具体的な方法」です。ビジネスケアラーの大多数は、介護休業制度を利用せず、介護離職もしません。ただ、ひっそりとパフォーマンスを低下させているビジネスケアラーが増加しているのです。この事実と向き合い、両立支援を成功させている企業事例を、ともに学びましょう。
- 酒井 穣氏(さかい じょう)
- 株式会社リクシス 代表取締役副社長
- 慶應義塾大学理工学部卒、オランダTilburg大学経営学修士号(MBA)首席。商社勤務後、オランダの精密機械メーカーにエンジニアとして転職。帰国後は上場IT企業にて人事担当取締役などを歴任。17歳の頃から30年以上にわたる介護経験から、仕事と介護の両立支援を行う株式会社リクシスを創業。著書多数。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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