講演者インタビュー
有価証券報告書への情報掲載の義務化で終わらない!
先行事例から見る開示情報の準備と活用方法
Fフロンティア株式会社 代表取締役/人事コンサルタント/社会保険労務士
深瀬 勝範氏
人的資本の情報開示については、多くの情報に振り回されて「やるべきこと」を見失った方も多いのではないでしょうか。企業の「やるべきこと」は自社の人的資本情報を収集・分析した上で社内外に説明することです。本講演では、これまでの政府や企業の動きを一旦整理したうえで、情報開示の活用事例や社内外に人的資本の状況説明を正しく実施するためにどのような準備をすべきかを、先行企業の事例を交えてお伝えします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
人的資本の情報開示については、「ISO30414の認証取得が必要」「19項目の開示を検討するべき」などといった記事や報道に振り回されて、「やるべきこと」を見失ってしまっている人事関係者は多いようです。
人事関係者が「やるべきこと」は、自社の人的資本情報を収集・分析し、それを社内外に説明できるようにすることです。
本講演では、人的資本の情報開示について、これまでの政府や企業の動きを一旦整理したうえで、人事関係者や経営者が「やるべきこと」に絞り込み、いつまでに何を行うべきかを明確にしていきます。
「人的資本の情報開示を、このまま終わらせてはいけない」「効果的な情報開示によって投資家や労働者からの支持を得なければならない」という問題意識をお持ちの方に、ぜひ、聴講していただきたいと思います。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
人的資本の情報開示については、昨年11月に公表された内閣府令案では「すでに開示している情報を有価証券報告書にも記載する」というマイルドな改正に留まっていたため、人事関係者の間では「あれだけ騒いで、もうおしまいか……」という期待外れ感が広がっています。
このように人事関係者が肩透かしを食らう状況になってしまったのは、「ISO30414の認証を受けるべきだ」「法令で情報開示が義務付けられる見込みだ」などと散々あおってきた記事や報道などの影響もあるでしょう。こういうときだからこそ、人的資本の情報開示について、これまでの流れを見直し、これから何をするべきかを明確にしなければなりません。
「有価証券報告書への情報掲載の義務化」は、人的資本の情報開示の「第1ラウンド」の終了を告げる合図に過ぎません。先行企業は、情報開示によって投資家や労働者からの支持を得て競争力向上に結び付ける、あるいは、開示情報をチェックして取引先を選別する、といった取り組みを行う「第2ラウンド」にすでに突入しています。
この講演では、第2ラウンドに進んでいる日本企業が行っている取り組みを中心に説明します。参加される方には、「人的資本の情報開示を効果的に行うために、その会社はこれまでにどのような準備をしてきたか」という点に着目し、話を聞いていただきたいと思います。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
「人的資本の情報開示」の背景には、日本企業の人事管理の変質、すなわち「就業規則と人事制度による集団管理」から「個別契約と情報・データによる個の活用」への移行、という大きなテーマが隠されています。実は「ジョブ型雇用」や「初任給1000万円」という話も、これらの隠れたテーマと大きく関係しています。
このことを意識して本講演を聞くと、人事関係者として、これから取り組むべき方向性が明確に見えてくると思います。本講演が、皆さまのお仕事やキャリアを見直す一助となれば幸いです。
それでは皆さま、講演で(モニター画面で)お会いしましょう!
- 深瀬 勝範氏(ふかせ かつのり)
- Fフロンティア株式会社 代表取締役/人事コンサルタント/社会保険労務士
- 大手電機メーカーの人事部門を経験後、金融機関系シンクタンク、上場企業人事部長等を経て独立。現在、経営コンサルタントとして人事制度設計、事業計画の策定などのコンサルティングを行うとともに執筆・講演活動などで幅広く活躍中。主な著書に『Excelでできる 戦略人事のデータ分析入門』(労務行政)ほか多数。
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