講演者インタビュー
エンゲージメント3.0:パフォーマンスに繋がる「良い」エンゲージメントとは?
株式会社インヴィニオ 代表取締役/組織能力開発コンサルタント/日本CHRO協会主任研究委員
土井 哲氏
エンゲージメントの重要性が叫ばれ、エンゲージメントを高めるための「対話の促進」が実施されてきましたが、日本企業の業績、パフォーマンスは向上しているでしょうか? 本講演では、戦略・組織・人財・組織文化の整合性を確保し、従業員のエンゲージメントと企業の業績を同時に高めていくための組織能力開発の方法についてご紹介していきます。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
ずばり、従業員、特に若手社員のエンゲージメントの改善に取り組んでいる企業の方向けの講演です。
『日本の人事部』では、「エンゲージメントとは、 社員ひとりひとりが企業の掲げる『戦略・目標』を適切に判断し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲のこと」と定義しています。この定義は、エンゲージメントを高める上で重要な要素が二つあることを示唆しています。
一つは、従業員が企業の掲げる戦略や目標を適切に理解できていること。もう一つは、その戦略や目標について、自分が貢献できるイメージを持てていることです。現在皆さんの会社で行っているエンゲージメント施策、あるいはこれから実行しようとしている施策は、上記の2点を満たしているでしょうか。
「戦略・目標」の理解とその実現への貢献。これこそ経営者や事業部門長が求めているものである、という前提に立ち、実際にどのように実現できるか、当社が関わった案件事例を基に解説します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
企業にとって、従業員、とくに事業を現場で実行する若手社員のエンゲージメントの改善が、事業成果を上げていく上で鍵を握ります。エンゲージメントを高める上での重要な要素は上記の通り、従業員が企業の掲げる戦略や目標を適切に理解できていることと、その戦略や目標について、自分が貢献できるイメージを持てていることです。
この講演の「聞きどころ」は、これらの二つを解決し、別々の施策としてではなく、統合的な施策として実現する方法論を学習できることです。
重要なポイントは以下の三つです。
(1)戦略・目標の実現に必要な「組織能力」の向上と個人としての「能力の伸長とキャリア形成=可能性」といかに重ね合わせられるか。戦略に必要な組織能力を可視化し、どのようなスキルが必要となるかを明確にして、社員の事業参画への意欲を高めた事例を紹介します。
(2)また、その仕組みを人事部門だけが作るのではなく、事業部門との協働作業で作っていく方法についても事例を紹介します。
(3)さらにはエンゲージメントを、最近注目を浴びるウェルビーイングといかに重ね合わせて同時達成するかについてもお話しします。また、これらをお客さまと一緒に取り組む中で見えてきた大企業が抱える構造的な問題=希少資源である人材が有効に配置されず、伸ばせるはずの事業を必ずしも伸ばせないでいることに対する抜本的解決策についても提示します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
伝えたいのはただ一つ。業績の改善につながらないエンゲージメント施策から脱却して、次のステップに踏み出しましょうということです。対話会の開催や1on1などを通じて「関係の質」を上げることは、ダニエル・キム氏が唱える通り、組織開発の第一歩として極めて重要です。
しかしそれは、業績を上げるための必要条件ではあっても十分条件にはなり得ません。「関係の質」の改善を「思考の質」「行動の質」の改善につなげてこそ「結果の質」が高まります。これこそ経営者や事業リーダーが求めるものです。今回紹介する手法のうち取り入れられそうなものから取り入れていただき、ダニエル・キム氏が唱える「成功の循環」を実現しましょう。
- 土井 哲氏(どい さとし)
- 株式会社インヴィニオ 代表取締役/組織能力開発コンサルタント/日本CHRO協会主任研究委員
- 84年東京大学経済学部卒業後、東京銀行に入行。在職中に米国MITスローン経営大学院にてMSを取得。92年McKinsey & Co.に入社、通信業界、IT業界のコンサルティングに従事。97年にインヴィニオの前身である(株)プロアクティアを設立。以来、人材開発・組織開発分野のコンサルティングに従事。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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