［主催］日本の人事部「ＨＲカンファレンス」運営委員会［後援］厚生労働省
講演者インタビュー
大手グローバル企業が今後目指すべき「海外報酬ガバナンス」とは
エーオンソリューションズジャパン株式会社 代表取締役社長 パートナー
山下 知之氏
2000年以降多くの日本企業が海外企業の買収等を通じ、事業のグローバル化を進めてきました。その一方、海外拠点の役員や従業員の報酬ガバナンスにおいて課題を抱えているとの声をよく聞きます。本講演では、海外拠点や海外子会社はもちろんのこと、これから海外事業進出を考える企業も含め、報酬のガバナンス体制を今後どのように構築していくべきか、最新の取り組み事例を用いて、その目指すべき方向性についてお話しします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか？
大手日本企業には、海外企業買収後に既存の運営をリスペクトするという名目で存置するケースが見られます。特に、役員や従業員の報酬水準や処遇全般については親会社として十分にガバナンス出来ていないという声がよく聞かれます。
海外拠点の実態を適正に把握した上で、本社として緩やかな統治を目指すということであれば、それは一つの合理的な経営判断となり得ます。しかし、買収や海外展開の本来の目的は単に規模を追い求めることではなく、事業上のシナジーの追求、人材のモビリティによる組織の発展なども含まれると考えると、報酬を含む人事面でのガバナンスは不可欠です。
今回の講演では、特に報酬ガバナンスの観点から、どのような体制を構築していくべきか、弊社での取り組み事例や、グローバル共通のストラクチャー/レベルフレームワークを有する弊社グローバル報酬調査の結果等を用いながら、その目指すべき方向性についてご案内します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
報酬は経営幹部人材やプロフェッショナル人材を含むあらゆる人材の雇用・リテンションのために非常に重要な要素です。人的資本への投資の際たるものが、人件費そのものであると弊社では位置付けています。
グローバルに展開する日本企業において、海外拠点の報酬マネジメントが現地の事業戦略・経営成績等と整合性を有していない、或いは現地の報酬決定プロセスが現地任せ (日本の本社は実質追認するのみ) になっており、ガバナンス上の課題が生じているケースが見られます。
そもそもガバナンス体制を構築するという考えの根底には、親会社と子会社の利益相反があります。高い報酬を従業員に支払いたい、受領したいと考える海外子会社役員に対し、親会社よりも報酬水準が高くてもいいのか、業績目標を達成していないのにインフレを理由とした報酬引き上げを許容しがたい親会社、といった構図が存在します。
これらは日本と海外の報酬に関する考え方の違いが背景にあります。海外展開をする上で、海外の報酬プラクティスに関する理解を深めること、それらを海外事業部や人事部任せにするのではなく、海外事業を統括する役員やCEOを含めた経営陣が自ら理解を深めることが必要です。
今回は、これら状況に対して今後目指すべき海外報酬ガバナンスの方向性や具体的な方法について、弊社でのグローバルな最新事例等も踏まえご案内します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
今回の講演は、海外企業を買収または海外拠点を現地マネジメントに任せている企業で、報酬ガバナンスが現状十分に出来ていないという課題をお持ちの日本企業、または海外拠点の経営幹部・一般従業員の報酬水準・報酬構成 (基本給と賞与の割合等) の妥当性をどのように検証・評価するかについて方法を模索している大手日本企業に向けて開催します。弊社では概念的なソリューションのみならず、極めて実践的、戦略的なソリューションの提示に努めています。ぜひ講演を楽しみにして頂ければ幸いです。
- 山下 知之氏（やました ともゆき）
- エーオンソリューションズジャパン株式会社 代表取締役社長 パートナー
- 組織・人事コンサルティング業界世界最大手の一角であるAonグループにおける人事コンサルティング日本法人代表。Aonグループ参画前はゴールドマン・サックス証券投資銀行部門、タワーズペリン 、東京三菱銀行に在籍。一橋大学商学部経営学科卒。公認会計士。ライフネット生命社外取締役(監査等委員、報酬委員長)。
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