講演者インタビュー
業績向上につながる「特性HRデータ」の活用方法について
株式会社レイル 代表取締役社長
須古 勝志氏
「特性検査を導入したのにうまくいっていない」、「ツールは入れたけど活用できていない」などのご相談が増えています。調べてみると「目的と打ち手が整合していない」ケースが多いのです。精度の低いデータをどれだけ分析しても妥当性は得にくいため、まずは高精度な「特性検査」が必要となり、目的に整合する打ち手の考え方を整えることが重要です。本講演では、そのような悩みを解決してきた事例などもお話しします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
「採用」の失敗は、教育訓練で補えるものと補えないものがあります。多くの企業で特性検査の「ストレス耐性の高さ」を採用基準にしていますが、実は、ストレスを感じてへこんだとしても、その後の立ち直り力を高められる「レジリエンス」が重要であることが最近の研究で証明されています。
反対に、教育訓練では補えないと言われている特性もあります。成功するリーダーたちが共通して有しているインテグリティ(高潔さ)、イノベーション、概念化思考力などは、どれだけ教育訓練に時間をかけても補うことは困難なのです。
採用で見極めるべきは、どちらでしょうか。最近は、ストレス耐性が高くなると鈍感さも増すことから、むしろ高くない人を選ぶ企業も増えています。これらはほんの一例ですが、ツールの活用云々の前に、戦略人事として、「業績を向上させるために特性HRデータをどのように活用すれば良いのか」についてお話しします。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
ピープルマネジメントは仕事の成果よりも前に、まず、人と人とのコミュニケーション向上を解決させる考え方ですが、タレントマネジメントは、採用、配置、抜擢、育成などを包括的に変革させて会社や組織全体の業績向上を実現させる考え方です。
タレントマネジメントを成功させるには、タレントとして活用するための高精度な「特性HRデータ」の準備と、利用技術の二つが大切です。しかし、いずれかが欠けていることが原因で、うまくいっていない企業がとても多いように感じています。
そもそも、知識やスキル、経験などの上物をデータベース化しても、それらは必要条件ではあるものの「行動の根源的な土台」ではありません。将来の活躍度合いを予測するには精度(相関)が低すぎるのです。突き詰めて言えば、うまくいっていない原因は、「科学的視点」が欠けていること。入れ物の「箱」の機能よりも、中に入る「特性HRデータ」が重要です。そして次に現場での利用技術が重要です。
本講演では、当社が携わってきた中小企業から中堅・大企業に至るまでの皆さまが、さまざまな現場の事情、課題をどのように解決されているのかについても紹介します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
当社は「MARCOPOLO」という特性アセスメントツールを開発・提供し、特性HRデータの高度活用について、科学的視点からコンサルティングを行ってきました。
その中で、うまくいっていなかった企業の根本的原因は「科学的視点を持っていない」ということに尽きると感じています。戦略人事にとっては、「科学的」という魔法の言葉にだまされず、自ら科学的視点(再現性と実証性の繰り返しての確認)を持つことこそが最も大切なことだと思います。今回は、ツールの話は置いておいて、この点についてお話ししたいと思います。
- 須古 勝志氏(すこ かつし)
- 株式会社レイル 代表取締役社長
- テスト理論、テスト開発、心理統計学に基づく特性アセスメントやスキル系テスト開発に精通。HR視点からの人事コンサル経験が豊富。人と組織の「適合性」を確かな精度で数値化するアセスメントツール「MARCO POLO」設計者。著書『HRプロファイリング(日本経済新聞出版/2020年)』。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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