株式会社新経営サービス 人事戦略研究所 上席コンサルタント
岩下 広文氏
「職務・役割主義」の人事制度とは、社員が実際に担っている職務や役割(=仕事)によって賃金や等級を決定する仕組みです。欧米では当たり前のように導入されていますが、日本では一部の企業の導入に留まっているのが現状です。本講演では、今後の日本企業でもトレンドになるであろう「職務・役割主義」の人事制度について、基本的な考え方や具体的な設計方法・制度イメージをご紹介します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
日本企業で成果主義人事制度の導入が流行したのは、すでに20年も前のことです。この間、年功型人事制度の割合が大きく減ったかと言えば、決してそのようなことはなく、依然として多くの日本企業では年功型のままとなっています。部分的に成果要素や能力要素は取り入れたものの、人事制度の根幹は「年齢や勤続」が軸になっているのです。
しかしながら、人手不足などの急激な雇用環境の変化が起こる中で、これまでとは異なる理由により、年功型人事制度から真に脱却することが求められています。そして、その具体的な方法として、「職務・役割主義の人事制度」への転換が今後さらに進んでいくと考えられます。
本講演では、「年功型人事制度からの脱却のために、職務・役割主義の人事制度を導入するにはどのような方法・仕組みがあるのか」といった疑問をお持ちの方に対して、基本的な考え方や具体的なソリューションをご紹介します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
年功型人事制度からの脱却を図るため、「職務」や「役割」など“仕事”を軸にした人事制度に対する注目が集まっています。欧米でいう「職務給」や「職務等級(ジョブグレード)」などがその最たる例です。また、日本企業でも「役割給」や「役割等級」といった形で導入する企業は年々増加傾向にあります。
このような職務・役割をベースにした人事制度、すなわち「職務・役割主義人事制度」は、これまで長きにわたって多くの日本企業が採用してきた「年功型人事制度」とは、仕組みだけでなく考え方自体が大きく異なります。従って、いざ職務・役割型の人事制度への転換を図ろうと思っても、上手く検討が進まない……といった人事担当者の方も多いようです。
そこで本講演では、これから「職務・役割主義人事制度」の構築・導入を検討される企業に対して、以下の三つテーマで解説を進めます。
①“職務・役割主義”の人事制度とは?
②“職務・役割主義”人事制度の構築方法
③“職務・役割主義”人事制度の事例
まずは、職務・役割主義の人事制度が“考え方”として年功型(能力型)人事制度とどのように異なるかを説明します。その後、実際に職務・役割型の人事制度を構築するにあたって具体的な設計ポイントを、そして最後に、具体的な制度イメージを持っていただくため、職務・役割主義人事制度に関する複数の事例を紹介します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
ここ数年、一部の先進IT企業や大手企業が「優秀な新卒社員を高待遇する賃金体系」を導入する、といったニュースを耳にするようになりました。これこそが、「職務・役割主義人事制度」です。年齢や年数に関係なく、ビジネストレンドに合った優秀な人材に対しては、最初から「高難度の仕事と高水準の賃金」を用意することで、人材の囲い込みを図ろうとしているのです。
この波に乗り遅れることは、今後の企業間競争で極めて不利になることを意味しています。従って、「年功型人事制度から脱却」や「職務・役割主義人事制度の導入」に少しでも興味・関心がある方には、ぜひ、本講演にご参加ください。
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