株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役
森川 隆司氏
メンタルヘルス不調者への対応は、インターネットや書籍で調べてみても具体的な情報が載っていないことも少なくありません。初期対応だけでなく、復職の見極めに対して悩みを抱える労務担当者も多いです。本講演ではメンタルヘルス不調による休職者への具体的な対応法から、「よくありがち」だけど「対応に困ってしまう」事例をもとに、より実践的な職場復帰支援の対応についてお伝えします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
産業保健スタッフとして専任の保健師などがいない職場の場合、従業員の健康管理面、特に心の健康への取り組みに負担を感じる人事労務担当者が多いのではないでしょうか。なかでも、心の健康不調による休職者や復職者への対応は、不調の性質上「どのように対応してよいか」、もっと言えば「対応が怖い」と感じる方もいるのではないかと思います。
私たちは、心理臨床の専門家として、また人事労務関連の経験豊富なコンサルタントとして、休職者や復職者の個別対応、組織や人事労務担当者への支援などについて、課題解決の手法をご提供します。休職者に対しては、休職開始直後から専任で定期面談を継続し、単なる情報把握の面談ではなく、カウンセリング的なかかわりの中で、求職者本人の課題にも一緒に向き合っていきます。人事労務担当者に対しては、安全配慮義務やリスクマネジメントの視点から、適宜アドバイスを行い、スムーズな休職復職を支援していきます。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
私たちは、毎月、人事労務担当者の方向けに事例検討会を行っています。実際に、個人や組織で困っている事例を提供していただき、さまざまな視点から検討を行っています。人事労務担当者、保健師、コンサルタントなど、社風や立場も異なる専門職による意見交換は、私たちにとっても新たな発見があり、参加者に毎回好評を得ています。
今回の講演では、実際に現場で対応に困ったケースについて、休職復職の場面で「誰が」「どのように」対応していったのか、事例をもとに発表させていただきます。もちろん、事例に関しては、特定されないよう加工していますが、できる限り、現場での生の対応についてお話させていただきます。
具体的には、「休職復職を繰り返してしまうケース」「主治医の見立てが、結果的に変更となったケース」などの事例紹介を予定。休職復職の現場でどのような面談が行われ、組織として、安全配慮やリスクマネジメントの視点から、どのような判断が下されたのか、実際に面談や組織支援にかかわった心理コンサルタントとして、その内容を詳しく解説します。
「復職面談で最低限聴くべき三つの事柄」「人事労務担当者が知っておくべき診断書の見方」など、口頭でなければお伝えしにくい内容も考えています。この機会にぜひ会場まで足をお運びください。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
臨床心理士として、これまで1,000件近くの休職復職にかかわる面談を行ってきました。休職復職支援は、個別的な要素が大きく、一つとして同じケースはないと感じています。つまり、どの場合も同じ方法で解決できるとは限らないということです。大切なのは、正確な情報をもとに、当該ケースを多面的に理解し、本人だけでなく、職場の環境も含めたアプローチを一緒に見つけていくことだと思います。休職復職支援の場面では、退職という結果も起こりえますが、同時に組織の課題も明らかになり、これを機会に、企業の新たな成長にもつながると感じています。「個人と組織をイキイキとさせる休職復職支援」。それこそが、私たちの目標です。
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