株式会社新経営サービス 人事戦略研究所 シニアコンサルタント
森中 謙介氏
再雇用制度・定年延長制度の見直しを行う企業が急増しています。高年齢化による組織パフォーマンスの低下や人材不足等の幅広い問題に対応するため、シニア社員の活躍を最大限に引き出せる人事制度の構築がいま、求められています。本講演では先進企業の事例を紹介しながら、65歳定年時代を見据えて各社がどのように制度構築を進めていくべきか、そのあり方について解説します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
改正高年齢者雇用安定法の施行から6年が経過し、自社の人事制度、中でも60歳定年後に再雇用されたシニア社員を対象とした評価・賃金制度を本格的に見直す企業が増えています。
当時大半の企業が継続雇用制度を導入しましたが、定年前と仕事が変わらないにもかかわらず年収が20~30%程度ダウンする人事制度に、再雇用者のモチベーションが低下。その後も高齢化を背景に各企業で対象者が増え続けており、組織的問題に発展しています。
外部環境にも大きな変化があります。例えば深刻な人手不足から、シニア社員が働き続けたいと思えるように賃金を見直す 動きがあります。また厚生年金支給開始年齢の65歳引き上げが2025年と迫っていることや、同一労働同一賃金についても対応の検討が必要な状態となっています。
本講演では様々な課題を抱える定年後人事制度の見直しを計画している企業様に対して、自社に合った制度設計のあり方について、先進企業の事例を紹介しながら解説します。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
定年後人事制度の難しさは、シニア社員を取り巻く環境変化に対して「いつまでに」「どこまで」「どうやって」制度改定を行うのがベストなのか、方針が立てにくいということにあります。例えば「再雇用制度」のままで様子見をするのか、あるいは中長期を見越して「定年延長」まで踏み込むのか、この二つを考えるだけでも非常に制度改定の広がりがあり、悩ましい問題です。
本講演では、各社が最適な制度改定プランを検討できるよう、「再雇用制度」「定年延長制度」の二つの枠組みを中心テーマとして、いくつかのアプローチ方法をご提案します。
一つは先進企業の事例を知ることです。これから取り組もうとする企業と比べ、先進企業は10年以上進んでいるといっても過言ではありません。先進企業が当該テーマに取り組んだ目的、狙い、そして今日までの制度改定プロセスを知り、追体験することで、さまざまな制度構築のノウハウはもとより、自社の方針を固める一助になることでしょう。
もう一つは自社での現状分析を深いレベルで実施することです。先進企業の制度をいきなり取り入れるのではなく、シニア社員を取り巻く組織の現状と中長期目線での課題を、包括的かつ多面的に検討することで、最適なプランに落とし込むことが可能になります。本講演では、シニア社員を取り巻く自社の組織・人事制度上の課題を簡易に抽出する方法(例えばアンケート調査等)についてもご紹介します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
本テーマに本格的に着手する企業が増加する一方で、当面は様子見という向きもまだまだ多いと思われます。2018年の最高裁判決(長澤運輸事件)において再雇用後の待遇差を認める判決が出たものの、今後の同一労働同一賃金の議論の流れによっては大きく制度の方向性を変えなければいけない可能性もあります。
どちらのスタンスで臨むにせよ、自社にとってより良い方向性を模索していく姿勢は常に求められます。この点、本講演では今まさに制度改定を行っている企業の“空気感”のようなものを伝えられるよう、また参加される皆さまが少しでも情報をアップデートすることができるよう、取り組んでまいります。
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