講演者インタビュー
コネクティングリーダーへの転換~未来をリードする新たなマネジャーの創造~
株式会社ジェイフィール 代表取締役
高橋 克徳氏
これからの20年、情報技術の発達はさらに判断や創造の質を高め、組織のあり方、人の働き方にも影響を与えていきます。人だからこそできることは何かを考え、そこに現場の知恵と思いを集め、組織的な動きに変える新たなリーダー像が求められています。次世代を担う30代、20代がこの先どのようなリーダーやマネジャーになっていくべきか。そのために私たちは今何をなすべきか、考えていきます。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
就職氷河期世代を中心とした中堅人材が、マネジャーという立場になり、大きな壁に直面しています。自信とやる気を失いつつある先輩部下たちとどう向き合えばよいのかわからず、マニュアルや答えをすぐに求める若手人材にいら立ってしまう。自律型人材として自分で考え、個々の力で行動することが求められてきたという高い意識が、周囲との壁になってしまっているのです。一方、若手世代が望むリーダー像も大きく変化してきました。効果や効率をすぐに求める反面、人としてフラットな関係をベースに、意味あることをみんなでつながり、みんなで成し遂げたいという意識が高まってきているのです。
こうした状況の中で、中堅人材に従来と同じ管理職教育を繰り返せばよいのでしょうか。階層型組織で情報が上司に集まり、上司が的確に判断できる状況であれば、従来型の管理職教育を中心にしても良いでしょう。しかし、重要な情報を各人が持ち、誤った判断をすることなく、各人が迅速に動きながら、組織的な展開につなげていくためには、情報や感情をつなぎ、意味ある未来像を示し、周囲を巻き込み、周囲とともに考え、行動を起こすリーダーが必要です。私たちはこれをコネクティングリーダーと名付け、これからの中堅、若手世代が望む、新たなリーダーシップ開発への転換が重要であると考えています。本講義ではこうしたリーダー育成、リーダーシップ開発の考え方、具体的な取り組みについて考えていきます。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
サザンオールスターズや福山雅治が所属するエンターテイメント企業「アミューズ」のグループ企業として、2007年に設立。2012年の第1回「HRアワード」優秀賞をいただいた「リフレクション・ラウンドテーブル」や、職場の感情を可視化する「組織感情診断」など、新たなプログラムを次々に開発。さらに、映像や演劇などの心を動かす技術をベースに、関係革新、仕事革新、未来革新という三つのステップでの組織革新を支援しています。
私は、東京理科大学大学院MOTの教授でもあり、29万部のベストセラー『不機嫌な職場』(共著、講談社)をはじめ、『職場は感情で変わる』(講談社)、『人がつながるマネジメント』(中経出版)など、次々に新たなコンセプトを打ち出してきました。今回は、ジェイフィールの重光直之との共著である『ワクワクする職場をつくる。』(実業之日本社)をベースに、未来志向の組織づくり、リーダーづくりについて考えます。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
20世紀のビジネスは、効率的な生産・流通システムを構築する企業が優位に立つことができました。しかし、21世紀になり、情報技術の進化はビジネスだけでなく、組織のあり方、人の働き方を大きく変えました。それは、主役がシステムではなく、人に移ったことを意味しています。思いのある人たちが、その思いを発信し、連鎖を起こしていけば、大きな組織に対抗する「つながり」をつくり、大きな革新を起こせる時代になったのです。この先、20年で、さらに情報技術は新たな進化を迎え、人の判断業務や創造活動にも影響を与えていくでしょう。こうした時代を担っていく30代、20代の人材を、どう育成していくのか――私たちの大きな使命ではないでしょうか。
- 高橋 克徳氏(たかはし かつのり)
- 株式会社ジェイフィール 代表取締役
- ジェイフィール 代表取締役。東京理科大学大学院 イノベーション研究科 教授。野村総合研究所、ワトソンワイアットを経て、2007年、ジェイフィールの設立に参画。著書に、「不機嫌な職場(講談社、共著)」「人がつながるマネジメント(中経出版)」「ワクワクする職場をつくる。(実業之日本社、共著)」など多数。
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