――　今回の講演のポイントについて、お聞かせください。

多くの企業の人事担当者は「採用」に課題を抱えている、といいます。したがって「一風変わった打ち手をとってでも、自社の広報戦略を考えたい」「応募者に選ばれる企業になる、そのためには何をすればいいのか悩んでいる」「オフィスを整えたり社食を充実させることで、他社との差別化を図りたい」と口を揃えます。

しかし、その問題を解決する前に、もっと大きな障害を取り除かなければならないことを、多くの人事担当者は気がついていません。まず「自社に最適な人材をどのように見極めるのか」、さらに「どうして自社の従業員は辞めるのか」、最後に「なぜ優秀だと見込んで採用したのに活躍できないのか」です。この三つの問題が「どうして」発生するのか、その理由がわかっていない、正しく言うと「知ろうと努力をしても、よく分からない」のです。

今回、ジョブディスクリプションが比較的明確で、スキルを可視化しやすいエンジニア向けのアセスメントサービスを開発、ローンチするプロセスで得た数多くのデータの中から「誰を採用すべきなのか」「どう定着させるのか」「育成の方向性はどのように決めるのか」、その自社の戦略を決めるヒントになる視座視点を提供できれば、と思っています。若年層を中心とした育成やキャリアに関する専門家とのトークセッションで、採用に課題を感じているからこそ、その前に整理をして解決しておくべきポイントを、わかりやすく説明する予定です。

――　貴社の強みや特徴について、お聞かせください。

長年、人材に関するビジネスに携わり、さまざまなサービスを生み出してきたリクルートキャリアが自信をもってお届けするのが今回ご紹介する「CODE.SCORE（コードスコア）」です。自社の強み・弱みを知りたい、最適再配置をしたいという経営者や、自社が求める人材要件定義を定量的に把握したいという人事担当者、また客観的な指標に基づいて部下の評価や育成をしたい現場の技術責任者など、幅広く活用できる評価システムです。

『若手社員が育たない。』の著者であり、人材育成や若年層のキャリアを専門に長年研究を続けている豊田義博と、「スキルの可視化によって、定着や配置、育成に関する企業の悩みに対応する」サービスのプロダクトデザインを手がけるサカタカツミが、企業の現場で起きている事例を交えながら、「辞めない」そして「人が育つ」組織づくりのための最重要ポイントをご紹介します。

――　講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

今年の人事のテーマは「可視化」と言われています。「CODE.SCORE」は、ITエンジニアの実務力を単純にスコア化するだけでなく、得られた結果に統計的な処理を重ねることによって、評価、育成、配置など、さまざまなシーンで活用できるようにしてあります。また、いままでの評価システムでは見えなかったことを、統計的に可視化されることで人事の意思決定をデータオリエンテッドに導くことができるようになります。50社5000人以上で行った実証実験や実例なども踏まえつつ、なぜ辞めるのか、なぜ機能しないのか、なぜ育たないのか、その解決の鍵となる「可視化」についてお話いたします。ぜひご参加ください。