講演者インタビュー
「ストレスチェック義務化」の誤解 ―労働安全衛生法改正の本当の目的とは―
株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント 代表取締役社長
鳥越 慎二氏
本年12月より、従業員50名以上の事業場にてストレスチェックが義務となります。「面倒な制度ができた……」「ストレスチェックだけ行えばよい……」そのように、今回の義務化を誤解されていませんか? 本講演では、ストレスチェック実施のポイント、本来の目的を達成するために留意すべき点、実施準備においての課題点とその解決方法などをご説明します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
労働安全衛生法が改正され、今年の12月から50名以上の事業場では従業員に対してストレスチェックを行うことが義務付けられることになりました。「面倒な制度ができた」「ストレスチェックだけ行えばよい」そのように、今回のストレスチェック義務化について、誤解されている担当者の方もいらっしゃると思います。本講演では、法制化の背景を踏まえて、法律、省令、指針の内容を解説しながら、企業にて行うべき対策や、制度構築のポイントなどをお話します。
「健康経営」の取り組みとしても、メンタルに関する問題は特に職場や業務との関連性が高く、環境も含めて変えていかなければ根本的な解決にはならないので、優先度の高い取り組みと言えるでしょう。ストレスチェックは個人の問題のみならず、ストレスがどんな要因で引き起こされているかを統計的に分析することを通して会社の環境要因を分析するにも役に立ちます。ですから、今回のストレスチェック義務化は、ただ「ストレスの高い社員を見つけ出す個人のための制度」ではなく、現状を知り未然に予防することと、課題を改善することで組織を健康にすることが最終的なゴールなのです。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
弊社は2002年に日本で初めて、ストレスチェックを取り入れた予防のためのEAPサービスを提供し、メンタルヘルス対策のパイオニアとして事業を展開してきました。ストレスチェック、医師面接、カウンセリング、集団分析と組織改善、エンゲージメント(仕事熱意度)を取り入れた指標など、幅広い対策をワンストップで提供しています。
業界唯一の上場企業として国内トップシェアの実績を有し、現在約550社100万人の従業員の方々をサポートしている「信頼される実績」と、一般社員から経営層、内定者、休職者まで、全ての人をサポートする総合的なメンタルヘルスプログラムを提供できる「総合的なサポート力」、そして、GLTD(団体長期障害所得補償保険)からEQ(感情能力)理論に基づく採用サポートまで、市場の枠組みにとらわれず、人の「心(メンタル)」を軸とした「先進的なソリューションを展開」が弊社の特徴と言えます。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
ストレスチェック義務化への対応にあたってまず考えていただきたいのは、「メンタルヘルス対策の会社方針」です。コストを抑えて法令遵守のために最低限の内容で良しとするのか、制度として取り組まなくてはならないのだからしっかりと未然予防までできる体制にするのか、さらには生産性の向上まで目指せるような制度構築をするのか……。どこを目指すのかによって、取るべき対策は異なります。したがって、まずは会社全体としてどのような状態を目指すのか、そのビジョンをはっきり持つことが重要です。本講演がその方針決定の参考になれば幸いです。
- 鳥越 慎二氏(とりごえ しんじ)
- 株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント 代表取締役社長
- 東京大学経済学部経済学科卒業、ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院修了。ベインアンドカンパニーを経て、1994年(株)アドバンテッジパートナーズ・パートナーに就任。翌年(株)アドバンテッジインシュアランスサービスを設立、代表取締役社長に就任。1999年(株)アドバンテッジリスクマネジメントを設立。
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