講演者インタビュー
中堅企業における「役割給・役割等級」成功のポイント~企業の事例より
コンピテンシーコンサルティング株式会社 代表取締役社長
浜田 正憲氏
日立、キヤノン等の大手が「役割」に基づく人事制度を導入し、今後中堅企業への導入に拍車がかかります。しかし、この制度の導入・定着は一筋縄には行きません。ソニーは10年以上前に導入しましたが、2015年に大幅な見直しを行いました。当初の目的を実現するにはたくさんの問題を乗り越えなければなりません。
大手企業の事例や弊社のコンサル事例を基に、成功と失敗を分けるものは何なのかを考察します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
本講演では、役割に基づく等級・評価・報酬の仕組み(以下、役割等級制度)を成功に導くポイントを、企業の実例を交えながら解説します。
大手企業の役割等級制度に関する記事が新聞紙上を賑わせています。この制度の導入は10年ぐらい前から始まりましたが、運用は一筋縄には行きません。現在も多くの企業が苦労を続けています。これから中堅企業への導入が加速すると思いますが、目的や対象をしっかり定めず大手の枠組みだけをまねても、成功は難しいでしょう。
役割等級制度は、職務等級制度の一種と定義されます。しかし、欧米で一般的な組織構造を設計し、必要なポジションと等級を定め、そこに人をアサインするという最初に組織ありき・仕事ありきの硬直的な職務等級制度とは一線を画します。この制度には、会社が定めた「役割」にふさわしい目標を社員が自ら立て、必要な貢献をしていくという「柔軟性」があるからです。役割等級制度の目的を「処遇を公正に決めるための仕組み」と狭く捉える企業もありますが、この柔軟性を生かせば「社員の自律的な成長を促す仕組み」として活用することもできます。しかし、この柔軟性はくせ者です。年功的運用の温床になるからです。社員が本当に役割にふわさしい仕事をやっているのかをしっかり検証する仕組みも、同時に必要なのです。成功の鍵は、制度設計、制度導入、定期運用の三つの段階で存在します。それらを体系立てて解説いたします。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
コンピテンシーコンサルティングは、「経営と人事の統合」を目標に掲げ、2011年にスタート。役割等級制度を通じて、社員がチャレンジ・創意工夫のある目標を立て、上司は部下から最大限の能力を引き出しながら日々フィードバックを行い、成長を支援する、期末には会社への貢献度に応じた公正な評価・報酬が決まるというシンプルな理想形を追求して来ました。
役割等級制度は、設計よりも導入・運用の方が難しいと思います。そして、導入・運用は、人事部門が主導しなければなりません。弊社は、制度設計だけではなく、定着のためのワークショップを人事部門の方々と協力しながら実施し、運用のノウハウをしっかり移管するよう努めています。私自身のジョンソン・エンド・ジョンソンとヒューレット・パッカードの人事部門での23年に渡る実務経験、人事制度の運用を知り尽くしているからこそできるサービスです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
参加されるみなさんが何らかのヒントと変革への勇気が得られるように、私自身の成功例・失敗例も交えながら、現場感・臨場感のあるお話をしたいと思います。
大企業の苦労をみて、役割等級制度の導入をためらっている中堅企業の経営者、人事担当の方も多いかもしれません。役割等級制度が唯一の答えではありませんが、何もしないでいると人事の機能は経営からさらにかい離する危険もあります。
社員の貢献をうまく引き出すために、能力や生産性を向上させるために、そしてリーダーを育てるために、いま自社で何が必要かをお考えになることで、本講演で紹介する事例からヒントが得られやすいと思います。
- 浜田 正憲氏(はまだ まさのり)
- コンピテンシーコンサルティング株式会社 代表取締役社長
- 2011年コンピテンシーコンサルティング株式会社を設立し、社長就任。現職及びIBMで経営コンサルタントを7年。J&JとHPの人事部門で計23年勤務(うち人事部長が9年)。早稲田大学Transnational-HRM研究所招聘研究員。2011年早稲田大学ビジネススクール卒業(首席) 。1995年社会保険労務士登録。1985年神戸大学卒業。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社アイ・キューの登録商標です。
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