講演者インタビュー
マネジメントとしての人事評価制度の運用ポイント
学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 人事・コミュニケーション研究センター 主席研究員
額賀 剛氏
人事評価の目的は人材育成といったマネジメントそのものであるとしながら、評価者による運用は、単に昇給・昇格や賞与を決定するための査定手続きに終始しているケースが多く見られます。今回は、人事評価の基本原則をふまえて人事評価をマネジメントシステムとして機能させるための運用ポイント(例:期中対応、貢献度の視点からの評価)について事例を含めてご紹介します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
本学では人事評価者研修を実施していますが、参加される受講者の中には、人事評価を昇給や賞与を決定するための単なる査定の手続きとしてしか認識されていない方が多く見られます。しかし、現在の経営環境の変化をふまえると、査定も重要ですが、人事評価を環境変化に対応するために人材育成を促進し、成果を向上させるマネジメントツールとして運用し機能させることが必要です。
評価の基本原則を「期待基準をベースに事実の持つ意味を把握し、評価基準に基づいて判断すること」と表現していますが、これはマネジメントのPDCAサイクルを回すことに他なりません。今回は、この評価の基本原則に基づいて、人事評価制度をマネジメントツールとして運用するポイントを解説します。
たとえば、(1)部下が客先に常駐しているため、日頃、部下の行動を観察することが困難な職種を含めた、自己説明責任(セルフ・アカウンタビリティ)をベースにした期中の進捗管理の方法、(2)難易度と達成度で成果の評価を行うのではなく、「組織貢献度」の視点からの成果評価の考え方、(3)納得性を高めると共にメンバーの成長に向けたフィードバックのポイントなど、人事評価制度の運用強化に向けての対応事例をご紹介します。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
産業能率大学総合研究所は、上野陽一によって1925年に創立された日本産業能率研究所から続く、日本有数の研修・コンサルティング機関です。日本産業界の黎明期から、高度成長期を経て現在に至るまで、創立から約90年にわたり日本を代表する社会人研修・コンサルティング機関として産業界に貢献してきました。特にミドルマネジャーを中心としたマネジメントスキルやコミュニケーションを中心とするビジネススキルの向上、次世代経営幹部の育成、組織の問題解決に関わる人材開発プログラムの開発と実施、組織改革のための諸制度の構築からその定着化まで、企業の経営課題を解決する的確なソリューションを提供しています。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
人事制度にベストプラクティスはありません。今回の講演は、斬新な手法や成果主義といった理論の解説ではなく、私どもがコンサルテーションや企業内研修といった実践の場で培ってきた「人事評価制度を組織貢献に向けて機能させるための実務ノウハウ」について、改善事例を中心に解説します。経営層や人事スタッフだけではなく、実際に部下を評価する立場にある管理職の方々にとっても参考になる内容にしたいと考えています。自社の人事評価の運用実態と比較してお聞きになると、さらに効果的だと思います。
- 額賀 剛氏(ぬかが たけし)
- 学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 人事・コミュニケーション研究センター 主席研究員
- 早稲田大学商学部卒業。銀行勤務後、同行経営研究所にて人事管理コンサルテーションに従事。1993年より産業能率大学に入職し、現在に至る。組織貢献型人事制度の構築および運用定着、運用改善に関するコンサルテーション(プロ人材の選抜および人材開発のためのアセスメント指導等)やマネジメント研修を実施。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社アイ・キューの登録商標です。
当社はプライバシーマーク取得事業者です。類似のサービスやイベントとの混同にご注意ください。