講演者インタビュー

――　今回のワークショップのポイントについて、お聞かせください。

辻：スポーツ界では以前より、パフォーマンスにおける心・技・体の必要性が言われてますが、ビジネス界も同様にパフォーマンスが問われ、結果を求められています。ビジネスパーソン一人ひとりのパフォーマンスを向上するためには、心を一つのスキルとして考え、鍛える必要があります。そこで、心とパフォーマンスと結果の関係がわかりやすいスポーツから生まれた学問を、ビジネスなどに応用しようということで生まれたものが「応用スポーツ心理学」です。

その中でも今回は、チクセントミハイ博士が提唱する概念で、パフォーマンスの内容やビジネスの職種に関係なく、パフォーマンスの質がもっとも高く発揮されているときの心の状態である「フロー」（揺らがず・とらわれず）にフォーカスして、このフロー状態をいつでもどこでも導けるような脳の習慣、即ち思考の習慣をセルフマネジメントするスキルと、チームをその状態に導くチームのマインドマネジメントのスキルをお伝えします。

心をマネジメントする脳機能をスキル化できれば、パフォーマンス向上による結果はもちろん、変化や成長に強くなり、また健康で元気にもなります。これはすべてのビジネスパーソンや企業が望んでいることです。このようなタフなビジネスアスリートを生み出すためのメソッド（＝辻メソッド）をお話しいたします。個人やチームの成果をより良くしたい！ とお考えのご担当者様に、ぜひ参考にしていただきたいと思っています。

――　貴社の強みや特徴について、お聞かせください。

辻：内科医師として活動し、その後、クォリティーオブライフ（QOL）向上のための学問としてスポーツ医学の分野に転職しました。アスリートのコンディションサポートや、さまざまな人の健康のためのライフスタイルサポートをスポーツドクターとして専門にしてきましたが、それらすべてに大事なことはメンタルだと感じ、現在は応用スポーツ心理学を専門にしています。

日本は病んだ心に対する専門家は多々いますが、より良くなるため、パフォーマンス向上のためのメンタルの専門家は少ないのです。企業ではメンタルコンサルタント、産業医、社外取締役、メンタルトレーナーなどの立場で多数サポートし、それ以外では、プロアスリートやオリンピック選手、音楽家や教育現場でメンタルトレーニングを行っています。
著書として、『スラムダンク勝利学』（集英社インターナショナル）、『禅脳思考』（フォレスト出版）、『自分を敬え』（学研パブリッシング）などがあります。

――　ワークショップに向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

辻：メンタルヘルスのようなマイナスの立場からではなく、企業の生産性や業績を向上させるための経営資源として、メンタルタフネスを考えるきっかけにして欲しいです。

揺らがずとらわれずに心をマネジメントする脳をトレーニングすることで、しなやかでタフな人財が社内に増え、その成果は計り知れません。パソコンでいえばさまざまなソフトをインストールして対処するのではなく、OSそのものをバージョンアップしていくイメージです。昨今、脆弱な社員が少なくないと言われますが、この分野で社員に資本投下する必要があると考えています。それが勝ち残るための21世紀型健康経営のあり方であり、その価値に気づいてもらえるワークショップとなれば幸いです。