もう先送りできない!シニア化するバブル期入社世代のキャリア開発支援とは
株式会社日本マンパワー ソリューショングループ 専門部長 マネジメントコンサルタント
秋本 暢哉氏
ミドル世代、いわゆる“ バブル期大量入社”世代のボリュームゾーンが組織の中核を担い、間もなくシニアを迎えます。一方、ポスト不足や人件費増加の問題、社員の停滞感やあきらめ感など、「キャリア中期の危機」にあるミドル世代をめぐり、問題も散見されます。ミドル世代がモチベーションを高め、組織の活性化に貢献するためにはどうしたら良いのか。ミドル・シニア研究会の成果や支援企業の事例を交え、処方箋を紹介します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
秋本: 団塊世代の退職が一巡した企業では、ミドル世代(40代)、いわゆる“バブル期入社社員”のボリュームゾーンが組織の中核に位置し始めており、高齢化に伴う人件費の増加や管理職ポスト不足など、人事上の問題が出てきています。
一方で、ミドル世代はキャリア発達上の「キャリア中期の危機」を迎え停滞感やあきらめ感を感じる年代であり、特に管理者ではない一般社員のモチベーション低下や成長の鈍化、専門能力の陳腐化などの問題が出てきています。
ボリュームゾーンのミドル世代が不活性のままシニア世代へと移行していくことは、これ以上先送りできない経営課題へとなりつつあります。
ますます長期化する職業人生後半において会社から雇用され、働き続けるために必須となるものが「エンプロイアビリティ(生涯雇用能力)」です。ミドル世代の活性化のためには、彼ら自身が「会社の指示をただ待つ」のではなく、エンプロイアビリティを自立・自律的に磨いていくための支援が不可欠です。
ポイントは、(1)自律意識の醸成「中年期アイデンティティの再構築」、(2)能力の強化と更新「学び直し」、(3)活躍場所との適合「自分が活きる場所づくり」の三つです。これらの取り組みが、ミドル自身の意欲を喚起し「エンプロイアビリティ」が発揮できる職務で組織貢献し続ける人材へと“戦力化“させていくのです。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
秋本:日本マンパワーは、「キャリア開発のパイオニア」として『個人の自律と組織のまとまり』の必要性を広く社会に発信しており、企業内のキャリア開発支援(キャリア研修やキャリアカウンセリング)などの総合的な人材育成サービスを提供しています。特にCDA(Career Development Adviser=キャリアカウンセラー資格)は人事教育担当者にも人気が高く、資格取得者は12,600人以上にのぼります。2013年には「企業内キャリアカウンセリング」の効果を実証した白書を発行し、日本のキャリア開発支援を推進しています。
また、日本企業の経営課題でもあるミドル、シニア社員の活性化に対しては、最新のリサーチ結果を反映しながら各企業固有の課題に対応したコンサルテーションを行い、CDP制度の設計から、研修・キャリアカウンセリングサービスの提供など、ソリューションを一貫して提供しております。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
秋本:すぐそこまで来ている「70歳雇用時代」に向けた社員のキャリア開発支援に関する問題は、 ミドル世代だけが対象ではありません。今後、必ず50・60歳になっていく 若手・中堅社員、将来プレイヤーに戻る管理職に対しても 生涯雇用能力の確立を促進する必要があります。
節目ごとのキャリアドック(R)(自分のキャリア上の健康診断=キャリア開発状態や陳腐化状態の点検)を実施し、新たなキャリアビジョンに向けて 自律的なキャリア開発行動を継続し、繰り返し自己固有の能力を強化していくことが重要です。社員の戦力化そして組織全体の活性化のためには、 全年代に対する継続的なキャリア開発支援が必要であると考えています。
- 株式会社日本マンパワー
ソリューショングループ 専門部長 マネジメントコンサルタント - 秋本暢哉氏(あきもと・のぶや)
- 企業向け人事教育サービスの営業マネージャーを経て、法人向けのキャリア開発研修のプログラム開発及び講師養成の責任者を務める。現在はミドル・シニア世代のキャリア開発支援を中心に、企業のキャリア開発支援施策のコンサルティングやキャリア開発研修のファシリテーションを行なっている。
- 日本の人事部「HRカンファレンス」事務局
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