――　今回の講演のポイントについて、お聞かせください。

一色：人材の流動化、人の価値観の多様化が進み、ダイバーシティの必要性が叫ばれる昨今、改めて自社の理念を明確に定め、社内に浸透させようとしている企業が最近とみに増えています。

市場環境の変化のスピードが高まり、事業のイノベーションが求められている今日、従来の戦略を180度変換してスピード感を高く実行に移さねば、という危機感を抱いている経営者や事業責任者の方は大変多いように感じます。

そういった問題意識を持つ方に共通の悩みは、「掲げた理念が社員に浸透していない……」「新しい戦略が現場で実行されるスピードが遅い……」「社員の意識が変わらない……」といった言葉に集約されるようです。

この問題を解決するには、「なぜ理念や戦略は、組織に浸透しないのか？ なぜ現場で行動に移されないのか？」といった課題の根本的な原因を知ったうえで、適切な手段を講じる必要があります。私たちは、そもそも組織には理念や戦略が浸透しないメカニズムが働いていて、人は意識や行動はそう簡単には変えられない心理が働いている、と考えています。そのメカニズムや心理の壁を越えて、理念や戦略の浸透を実現する有効な手段の一つが「ある目的のために、非日常な時間・空間に人を集め、メッセージを伝える“イベント”」です。

今回のワークショップでは、そんな観点で、組織に理念や戦略を浸透させるための「理論」と「技術」と「事例」をお伝えします。

――　貴社の強みや特徴について、お聞かせください。

一色：弊社は、「モチベーション」を切り口に人事・組織変革コンサルティングを手がける株式会社リンクアンドモチベーションを母体(2000年創業）とし、そのソリューションとしてのイベントの企画・実施にフォーカスした会社として、2011年に設立されました。

机上の空論では人も組織も変わりません。感情を持ち、しがらみを抱えた人、その集合体である組織を変えるためには、まず人の心が実際に変わらなければなりません。私たちが目指すのは、単なる感情の高ぶりによる変化ではなく、課題解決に繋がる変化。組織の課題を的確に捉えるコンサルティング技術と、人の心を把握する心理学・行動経済学といった学術的背景、“場”創りのプロ（プランナー、コーディネーター、ディレクター、ファシリテーター）によるイベント設計技術、そして今では年間1400本を超えるイベントの実践の数そのもの、が私たちの強みです。

――　講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

一色：通常は長くても60分、大規模・スクール形式といった制約の中で、同じ内容の講演を行っていて、どうしても理論の説明、フレームの提供、事例の紹介といった内容が中心となってしまいます。

今回は、2時間・中規模・ワークショップ形式という、イベント会社である我々、また研修ファシリテーターとしての経験がベースにある私にとって、工夫の余地が大いにある環境をいただきました。

当日は複数の体感ワークや参加者同士のダイアログ、ご自身の会社のケースに当てはめて考えてみるワークショップなどをふんだんに取り入れて、皆様の「理解」支援ではなく「実行」支援の場創りを行っていきますので、ご期待ください。