株式会社話し方研究所 代表取締役
福田 健氏
細分化されたメニューから対象に応じて選ぶという方法で、階層別や選択型の教育研修は設計されてきました。しかし現実のビジネスはスピーディーで、スキル学習によって成長するのを待っていてはくれません。より仕事への適用を広げた研修の最初の企画として“競争優位に立つためのプレゼン交渉力”をご説明します。
プレゼンテーション研修でも交渉力研修でもない、
新たなプログラム“プレゼン交渉力”
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
福田:従来、“プレゼンテーション”や“交渉”といった、ビジネスに欠かせない力を研修で伸ばそうとすると、それぞれが独立した分野として扱われ、別々に実施されてきました。ところが、昨今のビジネス現場を見ると、仕事の発生から最後の成果をあげる段階まで、コミュニケーションのプロセスにおいては、相互が密接に関連しているということが、きわめて現実的な問題であることがはっきりしてきました。
顧客との人間関係づくり、関連部署への根回しなど、コミュニケーションの基本スキルがプレゼンテーションのステージに立つ前に必要ですし、その後個別の交渉となれば、交渉のコミュニケーションスキルが求められます。そもそも、顧客との対話の中から交渉の芽が生まれ、さらにプレゼンテーションへと発展し、やがて個別交渉へと流れていくのが現実の姿です。
要するに、プレゼンテーションと交渉力が単独で別々に行われるのでは、現実の問題を解決する力が定着しないということです。この二つのメニューを、ビジネスコミュニケーションのプロセスとして考え、部分学習にならないよう、全体学習への移行を促したい、というのが本テーマの背景です。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
福田:当社は30年間、コミュニケーション能力の開発に取り組んできました。私たちの活動は多くの人に支えられ、研修ビジネスでもコミュニケーション専門の団体として認知されています。上場大手から中小企業まで、クライアントは1000社を超える実績を持ちます。特に研修パッケージの販売ではなく、一社一社研修を設計していくスタイルは、企業研修担当者の皆様から信頼していただく理由のひとつです。出版した著書は100冊を超え、マスコミなどでも発信できるようになったのは嬉しい限りです。
企業内人材育成の現場では、弊社担当とお客様の間で研修設計を行います。結果として仕上がった内容は、プレゼンテーション研修でもない、交渉力研修でもない、ビジネスコミュニケーション・プロセスとしか呼びようのないものが出来上がります。そこで、“プレゼン交渉力”と名付けて、今回のカンファレンスで取り上げたのです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
福田:「何か新しいものがあれば……」研修担当者から良く聞くセリフです。新メニューを求めうろうろするよりも、自分で創りだすことが人材育成の真の担当者ではないでしょうか。固定した研修メニューから選ぶのではなく、本当に必要な教育を設計するという意識を持っていただきたいと思います。今回の“プレゼン交渉力”は例に過ぎません。
私たち自身も、欧米からライセンスをとったわけでも、翻訳版のプログラムを使っているわけでもなく、自分たちで創り上げてきました。私たち共に、“新しいプログラム”を創りませんか?
- 株式会社話し方研究所
代表取締役 - 福田 健氏(ふくだ・たけし)
- 話し方研究所の創立者であり、企業の人材育成におけるコミュニケーション分野のプロフェッショナル。著書は150冊を超え、年間100本の講演をこなす。違いを認め尊重し合う関係づくりの原理とスキルを自ら研究・開発し、企業教育の現場へ提供している。
- 日本の人事部「HRカンファレンス」事務局
- 〒107-0062 東京都港区南青山2-2-3 ヒューリック青山外苑東通ビル6階
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