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特別講演[C3]

NECにおけるグローバルリーダー開発と
人事情報システムの活用

佐藤秀明氏 photo
日本電気株式会社 人事部 人事部長代理
佐藤秀明氏(さとう・ひであき)
プロフィール:NEC入社後一貫して総務・人事勤労分野を歩む。技術開発、製造、営業各部門で人事・労務の実務を経験後、全社人事制度企画、海外地域統括人事(シンガポール駐在)、本社およびグループ会社労務政策、国際人事を経て、現在は、人事施策・採用・人事情報システムを担当する。

携帯やスマートフォン、パソコンなどハード系の事業から、ITC技術を駆使し、社会や企業のさまざまな課題を解決するソリューションへと軸足を動かしてきたNEC。その領域は国内に留まらず、海外へ広がっている。こうした事業チェンジの大きな流れに対応するため、2010年よりグローバルレベルでタレントマネジメントへの取り組みを開始した同社は、「リーダー育成」をどのように進めてきたのか。また、「情報ツール」をどのように活用してきたのか――。本プロジェクトに立ち上げ時から携わり、国内外の各拠点と意見を交わしつつ、今もなおリニューアルに取り組んでいるというNECの佐藤秀明氏が、自社での取り組みについて語った。

【本講演企業】
「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」をビジョンに掲げ、クラウドサービスからプラットフォーム、端末/センサー等のアセットを最大限に活用した幅広い事業活動を展開。

140ヵ国への事業展開における人材開発

現在NECの従業員数は、全世界で10万人。その内訳は国内8万人、海外2万人だが、事業チェンジが進むにつれて、海外での比率が増えつつあるという。売上比率もそれに比例しているが、将来的には海外5割という目標を掲げていると佐藤氏は語る。

「かつては海外に製造のオペレーターがたくさんいたので、海外比率がもっと高かったのですが、コンシューマー向けのハードウェア事業からの撤退が進んだことで、海外比率は一旦減少しました。しかし、社会インフラを支えるITC提供事業へのシフトおよび強化によって海外マーケットが広がったために国外の拠点が増え、再び海外比率が高まりつつあります。例えば、指紋や静脈や虹彩による認証システム、衛生システム、システムプラットフォーム、ソリューションシステム、海底ケーブルなどの事業が市場を拡大しています。これらの基盤には、弊社の持つクラウド、SDN、ビッグデータといったテクノロジーが共通して存在しています」

佐藤秀明氏 Photo特に新興国における、社会インフラのソリューションニーズが高まっている潮流をにらみ、海外事業を強化するための拠点を新設。トルコ、南アフリカ、韓国、ナイジェリアなどへ展開している。さらに、全世界140ヵ国の拠点をまとめるリージョン制を採用。中華圏(北京)、APAC(シンガポール)、EMEA(ロンドン)、北米(ダラス)、南米(サンパウロ)の5つのリージョンをベースに事業を進める『グローバル5極体制』をとっている。この体制により、東京本社と拠点の人事部門が連携し、適切に海外人材の管理を行えるようになった。

「この5年ほどで、人材開発、採用、人事オペレーションに関して、かなりの部分を各拠点に権限委譲してきました。もちろん容易ではありませんでしたが、グローバルな事業展開の推進にあたっては、現地に即した形での人材開発が非常に重要だと考えています。一方で『強いリーダーの育成』を考えるなら、国内外、ナショナルスタッフ、ローカルスタッフも含めたトータルな仕組みの元で、どのように推進していくのかを考えなければなりません。そういう意味でも、その前提になる国内外の『人事制度・施策の標準化』は大きなテーマと言えます」

グローバルで「強いリーダー」を育成するために

では、「強いリーダーの育成」「人事制度・施策の標準化」を念頭に、幅広い経験を持った将来の幹部人材を国内外問わずに発掘・育成・任用するために、どのような取り組みを行ってきたのか。

「国内外の主要ポジションを、『NECグループ・キー・ポジション(GKP)』と定義付けて明確にしました。全体では250のポジションがあり、そのうち海外は約70です。GKPそれぞれに対して、直近、2年~4年後、5年後以降と時期を区切って各々三人の後継者候補を選抜し、毎年6月から1年をかけて人選・教育・評価を行います。6月からの上期は、GKP候補者の見直しのために社長・ビジネスユニットおよび人事部門トップで人選ディスカッションを行い、若手の優秀層・役員候補・重点事業部門長の人事などを検討します。続く下期には、特定の研修やコーチングなど個別の育成活動を行います。弊社では、2010年のプロジェクト開始時からこのプロセスを続けています」

「情報ツール」と「現地との対話」による効率的な運用

プロジェクト推進にあたりポイントとなるのが、NECが提供するグローバル人材マネジメントサービス『Cultiiva Global/HM』の活用だ。社員プロファイルを中心に、目標管理、人材のパフォーマンス管理、後継者管理などの機能を備えており、タレントマネジメントで世界No1の利用実績を持つ米SuccessFactors社のシステムをベースとしていることも魅力だ。GKP候補者の情報はこの人事情報システムに登録され、グローバルで共通化した人選・教育・評価の実施が可能となる。

「後継者管理画面では、社員の能力や準備状況が色分け表示されるなど、判読性を高める工夫がされています。画面の表示スタイルを自由に切り替えながら、さまざまな視点で情報を分析・表示できるため、人材を適材適所の視点で捉えることができ、補うべき研修や教育プランの計画にも役立ちます」

ただし、システムありきではなく、グローバルで導入するにあたっては、「海外のローカルと一緒に議論しながら活用することが重要」と佐藤氏は語る。そこには三つのポイントがある。

「一つ目は、『グローバルプロジェクトとしての意思とプロセスの明確化・徹底』です。本社としての意思決定だけでは不十分で、各拠点の権限や意思決定機構とエスカレーションルールを明示しておくべきです。例えば、コンフリクト発生時には、本社に報告した上で解決するといった、運用に際してのフローをチャートなどを用いて周知させておきます。

二つ目は『海外現地法人担当者との徹底的なコミュニケーション』。定期的な対面会議の場での合意作成はもちろんですが、日々のWeb会議などを通じて細部の徹底的な詰めと確認を怠ってはなりません。

三つ目は『社内外プロジェクトマネージャーの積極的な活用と機能の正しい理解』です。これはシステムでできることとできないことを、情報権限の観点からも、プロの担当者を交えて丁寧に進めていくことが大事です」

短期間かつ低コストでグローバル化に対応

NECでは、プロジェクトのスタートからわずか3ヵ月という短期間でのシステム導入に成功している。その理由としては、『Cultiiva Global/HM』がクラウド型サービスであることが大きいと佐藤氏は振り返る。過去にも自社で人事系のシステムを構築してきたが、クラウド型に関しては、実は今回が初めてだった。それだけに、懸念の声も少なくなかったという。

佐藤秀明氏 Photo「人事労務という非常に機微な情報をクラウドで扱うことについて、抵抗感を抱かない企業は少ないと思います。もちろん、私たちも例外ではありませんでした。議論を重ね、情報システム専門部隊から厳しいチェックを受けながら、実現へと至りました。今でも整備や改変は、怠らずに続けています。特にサーバーの管理に関しては、弊社としても事業の根幹を成す重要な部分ですから、必要以上にデリケートな管理を貫いていることは言うまでもありません。その点では『Cultiiva Global/HM』は、クラウド型でも安心してお使いいただけると確信しています」

ここで佐藤氏は、「クラウド型には融通の幅に限界がある」というデメリットにあえて言及した。ただし、それを踏まえて折り合いさえつけられれば、短期導入が可能で低コストになるという大きなメリットがあるのも事実。同社にはスケジュールを優先させて導入した後に、さまざまな課題を解決しつつ運用の幅を広げ、グローバルに進化させてきた多くの実績がある。

「グローバルリーダー育成のためには、教育よりも、候補者の経験の幅を広げることを優先すべきだというのが全社の統一見解です。そのためには一刻も早く、いい経験をたくさん与えたい。スケジュールを優先させた理由には、こんな思いがあったのです。グローバルの波が加速する昨今、時間は貴重です。とにかく始めてみて、運用する中で不足する点や修正すべき点を見つけたら、それを改善する作業を同時に進めていけばいいと思います。これは、私どもが国内外のさまざまな拠点で、スタッフと共に取り組んできた経験から言えることです。もちろん、『Cultiiva Global/HM』を導入していただいた企業には、弊社の導入ノウハウを活かして、準備から設定、導入、移行・展開、運用まで、フィードバックも行いながら、各フェーズで全面的なサポートを行いますので、ご安心ください」

本サービスは35ヵ国語に対応。世界各地からの問い合わせにも、多言語で一元的に対応が可能なサポート体制を敷いている。NEC自身も、今後は事業拡大に合わせた形で海外各拠点と連携・模索しながら、システムと人材開発を進化させていきたいという。最後に佐藤氏は、今後はリーダー候補者層だけでなく、少しずつレイヤーを下げた取り組みにも着手したいと語り、講演を締めくくった。

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