イベントレポート

HRカンファレンストップ > イベントレポート一覧 > 2014年-秋-  > 特別講演[B2] 有能なリーダーを輩出したければ、まずはフォロワーシップ教育から始めなさい!
特別講演[B2]

有能なリーダーを輩出したければ、
まずはフォロワーシップ教育から始めなさい!

石橋真氏 photo
リ・カレント株式会社 代表取締役
石橋真氏(いしばし・まこと)
プロフィール:「人事のこだわりをカタチにする縁・学・場プロデュースカンパニー」リ・カレント株式会社社長。女性活躍推進企業WisH株式会社副社長。1989年リクルート入社、HRD部門で金融不況期にマネジャーとしてV字回復を主導、全国MVPになった経験から、組織力開発にはリーダーシップ×フォロワーシップ の両軸が必要と熱く説く。

「次のリーダー育成を見据えてリーダーになる前に身に付けるべきもの」「リーダーシップとの相乗効果により組織力を向上させるもの」として、いま“フォロワーシップ”が注目されている。実体験を元に、フォロワーシップとリーダーシップを並行して実施する「デュアル教育」を掲げているリ・カレントでは、人材開発を組織開発へとつなげ、確かな成果を創出するモデルを提唱。階層、キャリア別、テーマ別にリーダーシップ、フォロワーシップのきめ細かなプログラムを提供している。代表の石橋氏が、その効果や具体例を語った。

【本講演企業】
多くの人がリーダーに登用されてから失敗をするのはなぜでしょうか? それはリーダーになってから教育を受けるからです。リーダー教育はリーダー昇進前に始めるべきなのです。昇進前に行うフォロワーシップ強化教育によって上位者の視点を身につけさせ、「自分がリーダーであれば○○する」という当事者意識を持たせることが重要なのです。同時に上位者に対しては、部下のフォロワーシップを引き出すリーダーシップ教育を施すべきです。 リ・カレントでは、「リーダーシップ×フォロワーシップ」デュアル教育によるチームワーク開発をサービスコンセプトに、個人の能力開発と組織開発のお手伝いをしています。

各界からも注目されている「フォロワーシップ」

リ・カレントは、「人事のこだわりをカタチにする『縁・学・場』プロデュースカンパニー」を合言葉に、階層別、キャリア別、テーマ別、課題解決など各種研修サービスを提供している。フレーズにある「縁」とは、研修講師と人事担当者や受講者の間の縁。「学」とは、研修でもたらされる仕事で成果を発揮するために必要な学習と、仕事や組織への本気さ・真摯さを生み出す感動。「場」とは職場のメンバーが「職場活力」を発揮することだ。

はじめに石橋氏は、フォロワーシップに関する著名人の言葉をいくつか紹介した。ユニクロの柳井氏の「フォロワーシップを発揮できなければ、本当のリーダーになれない」、宇宙飛行士の若田光一氏の「チームの力を最大化するためには、リーダーシップと同じぐらいフォロワーシップも重要」、米国陸軍士官学校の教えである「フォロワーシップを発揮するモノだけが次のリーダーになる」などが取り上げられた。

石橋真氏 Photo「これまでは、課長やリーダーのリーダーシップにばかり焦点が当てられてきました。しかし、組織ではプレーヤーが集まった上にリーダーがいて、その向こうに組織のミッションやビジョンがある。リーダー以外が自分の担当業務に向き合っているだけで良いわけがありません。フォロワーシップの力は、組織が成果を出す上で大きな役割を担っているのです。フォロワーシップを開発すれば、組織は一層活力を増します。そして、フォロワーシップを引き出すためのリーダーシップも、さらに大きな機能を果たします。そういった考えに基づいて、数々の研修プログラムを開発し、状況に応じて最適の『デュアル教育』を提供しています」

リーダーシップとフォロワーシップの関係性を明確にするため、石橋氏は以下の5項目で、それぞれのキーワードを提示した。役割は「リーダー=模範となる、フォロワー=補佐する」。方向は「リーダー=ビジョンを示す、フォロワー=翻訳して具現化する」。焦点は「リーダー=決定する、フォロワー=提言する」。人は「リーダー=影響を与える側、フォロワー=貢献する側」。結果は「リーダー=責任を負う、フォロワー=責任を分かち合う」。これらの関係性が理解され浸透していると、組織には相乗効果がもたらされる。そして、この関係性の構築に「デュアル教育」は大きく貢献できるという。

「リーダーシップもフォロワーシップも、ある階層に限定されたものではありません。例えば課長の場合、部下に対してはリーダーシップが必要ですが、部長に対してはフォロワーシップが必要になります。同様に部長クラスも経営陣も、両方を発揮しなければなりません。『デュアル教育』とは、幅広く効果を発揮するものなのです」

掛け算的に伸びる「デュアル教育」の成果

「デュアル教育」を実施するメリットは、大きく三つあると石橋氏は言う。一つ目は、プレ・リーダーシップの訓練になること。フォロワーはリーダーの補佐やリーダーへの貢献に取り組むことで、リーダー的視野が養われる。これにより、リーダー職に就いた時に、スムーズな適応が可能となる。二つめ目は、対部下フォロワーシップの開発。リーダーシップに傾きがちな管理職が、部下のフォロワーシップを上から引き出す術を学ぶことで、部下の持つフォロワーシップ力を倍加させることができる。三つ目は、チームワークの健全な機能。チームのナンバー2やナンバー3が組織成長を意識した思考や行動を身に付けるため、より機能的なチームマネジメントが促進される。このように、掛け算の成果が期待できるのだ。

「私自身の失敗体験から、『デュアル教育』の重要性をお話したいと思います。入社6年目に私はマネジャーに登用されようとしたのですが、ほどなく却下されました。先輩から聞いたその理由は、私の上司に対する提案が弱かったから。当時の私は、数字ばかりで組織やチームにまで目が向いていなかったのです。フォロワーシップの弱い人材は、管理職に適さないと判断された結果でした。その後、マネジャーに昇進した時、私は全国ナンバーワンのチームになるというビジョンを掲げました。しかし、もし目標が無謀だったら、誰もついてきてくれません。そこで、マネジャーの先輩に自分の思いを語り尽くしたところ、その人がメンバーに対するノウハウの提供や指導などについて、サポートしてくれました。すると、メンバーの力が急伸し半年後にはナンバーワンに。リーダーシップにフォロワーシップが加わった時の相乗効果のすごさを、目の当たりにしました」

以上のような体験も元に、同社では「イノベーションリーダーシップ」「ベストチームワーク・マネジメント」「六つの組織心理学」「マネジメント本質6ヵ条」「巻き込み型リーダーシップ」などのリーダーシップ系プログラム、「フォロワーシップ」「七つの行動原則」「メンタルタフネス」「OJTリーダー研修」「新人解体新書」などのフォロワーシップ系プログラムなどを取り揃えている。

上司に信頼される五つのフォロワーシップコンテンツ

ここで、実際にリ・カレントの研修プログラムで石橋氏が指導しているという、フォロワーシップの五つのステップが紹介された。

ステップ0は「上司との関係性を知る」。これは研修にあたっての大前提となる、大事な部分だ。研修の前か冒頭で受講者にアンケートを実施。結果分析から上司とフォロワーの関係性の現状を把握する。

石橋真氏 Photo「この関係性はマトリックスに落とし込みます。貢献力、批判力(提言力)という二つの指標を立てて、4領域にフォロワーのタイプを分類するのです。望ましいのは、貢献力、批判力とも高い『協働者』タイプ。貢献力が高く批判力が低いのは『従属者』タイプ。言われたら動くけれど提言をしない行動特性を持ちます。貢献力も批判力も低いのは『逃避者』タイプ。リーダーのマネジメントからできるだけ遠ざかろうとします。貢献力が低く批判力が高いのは『破壊者』タイプ。組織として重要視したいのはこのタイプです。実は有能層が隠れているケースが多い。対話を心掛けるようにすれば『協働者』へとすんなり変貌して、組織に貢献してくれるようになると言えます。『従属者』や『逃避者』に対しても、それぞれどういった面に着目して導き出したり働きかけたりすれば『協働者』に移行するかというノウハウがあります。フォロワーそれぞれの、リーダーとの関係性に応じたトレーニングが大切なのです」

次の第1ステップは、フォロワーが「上司の仕事・役割を知る」ということだ。上司がどんな役割を担っているかを把握しなければ、フォロワーシップの取りようがないのは言うまでもない。その上で上司が何に困っているのか、「上司のニーズを知る」というのが第2のステップ。チームワーク醸成のため、ひいては組織業績拡大のため、ここをつかめなければ貢献には結びつかない。

「第3のステップは『上司と報連相を自ら取る』です。新入社員でもないのに今さら報連相なんてと思われるでしょうが、中堅層になってくると徐々にこれがなくなる傾向が見られます。いい言葉で言うとツーカーになると言えますが、悪い言葉で言えば馴れ合い。ここには大きな落とし穴が潜んでいますから、注意が必要です。コミュニケーションが安易になってくると、正しい目的や意図を把握しないまま、惰性や自分個人の感覚に陥って行動してしまいます。知らず知らずに誤った方向に歩む危険があるのです。ここまで押さえた上での第4のステップは、『上司の不足不得手を補佐する』。上司の手の回らない部分を積極的にサポートすると当然喜ばれますし、組織も機能的に動き出します。最後の第5のステップは一番重要です。『上司に提言提案をしていく』こと。注意すべきは、どうしても現場視点での近視眼的な提言が多く出てしまいがちな点。フォア・ザ・チームで将来どうなりたいかと経営の視点から逆算して、さらに優先順位を付ける発想を持つように指導しています」

これらの五つのステップは、一見特異ではない。しかし、石橋氏は研修現場で、「上司の仕事をよくわかってなかった」「上司のニーズを考えたことなどなかった」「報連相は上司から聞かれたときだけすればいいと思うようになっていた」といった五つのステップからの気付きを多く聞くという。改めて自分のスタンスを見つめ直す機会にもなっているのだ。

「研修では、このような項目をより詳しく設定してデータにまとめます。本人と上司の意識の差や乖離もふまえて、具体的に何をどうすればいいかをすり合わせる材料にしています。その際には、ビジネス的なドライな話に終始せず、時には人間臭さを受け入れるようなアドバイスも加えます。やはり人間ですから、弱い部分というのは誰しも持っていると認識すべきだと思っているからです。そういう意味からも、処世術的な話をする場面もあります。たとえば、第4のステップで上司も自分も得意なことをする際には、手柄をあまりアピールせずに上司を少し立てて花を持たせる配慮も心得るべきだ、といったように」

「デュアル教育」によって、チームや組織に属することが個人の成長にも結びついていく感覚を目覚めさせ、魅力的な個人と会社を増やしていきたいという石橋氏。自社でもそれを実践し示していこうと、さまざまな仕組みを実験的に日々取り入れているという。

本講演企業の詳細や提供サービス、セミナー情報等をご覧になれます。

参画をご希望の企業様
お問合せ先
株式会社HRビジョン 日本の人事部
「HRカンファレンス」運営事務局
〒107-0062
東京都港区南青山2-2-3 ヒューリック青山外苑東通ビル6階
E-mail:hrc@jinjibu.jp
株式会社アイ・キューは「プライバシーマーク」使用許諾事業者として認定されています

このページの先頭へ