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特別講演[B-1]

グローバルで通用するリーダーシップ開発を成功させる秘訣
~グローバル環境で成果を出すリーダー育成の要~

松井 義治氏 photo
HPOクリエーション株式会社 代表取締役
松井 義治氏(まつい・よしはる)
プロフィール:高業績組織(HPO)の創造とグローバル人材育成を支援するファシリテーター&コーチ。前職ではP&Gなど優良外資系企業4社においてキャリア前半12年はマーケティングマネジャーとして、後半10年は日本やアジア諸国の人事ディレクター、北東アジア組織開発部長としてビジネス構築と組織変革をリード。教育学博士。

グローバルなビジネス環境において求められる、リーダーの能力とは何か。リーダー育成において欠かせない、基本要因とは何なのか――。本講演では、HPOクリエーション株式会社 代表取締役の松井義治氏が、グローバルリーダーに関する研究調査の結果と、優良なグローバル企業で実践されているリーダー開発の事例を紹介。企業が実践すべきリーダー育成の具体的なアクションプランについて、詳しく解説した。

【本講演企業】
HPOクリエーションは、「人材育成と組織変革」のプロフェッショナルです。リーダー開発の歴史100年以上、組織開発の歴史60年以上ある、フォーチュン誌でもグローバルリーダー排出企業とされているP&Gなどの外資系優良企業の人材育成と組織開発の文化と能力を醸成するしくみを日本に広め、ハイパフォーマンス組織(HPO)を創ることをミッションとしています。
強みは、グローバルで実績を出してきた変革のプロである講師陣、並びに実践的なHPO理論と手法です。ですから、顧客の皆様のビジョン達成に必要なグローバルで通用するリーダーシップ力・営業力・ビジネス能力などの強化から実際の経営革新や組織変革の支援を行い、常に組織の能力・文化・成果を強化し続けているのです。
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リーダーの使命は「組織のビジョン/目標を立て、達成すること」

HPOクリエーションは、成長を続けるグローバル優良企業で実証された組織変革手法と人材開発ノウハウを提供し、High Performance Organization (ハイパフォーマンス組織)への転換を支援。企業に「ハイパフォーマンス組織開発」「21世紀型リーダー開発ワークショップ」「ハイインパクト営業&マーケティング変革プログラム」「グローバル・ビジネススキル強化プログラム」「HPO組織アセスメント・総合人材アセスメント」などのサービスを提供している。 講演は、代表の松井氏による、以下のような問いかけから始まった。「皆さんの組織でリーダー人材の育成があまりうまくいっていない原因は、次のどれでしょうか。当てはまるものすべてに、チェックしてみてください」。

  • A.リーダー育成を研修に頼りすぎ
  • B.「あるべきリーダー像」がない、不明確
  • C.模範となるリーダーがいない、少ない
  • D.上司があまり育成をしていない、できない
  • E.育成を促進する人事制度や文化ができていない」

変化の激しい現在、リーダーの育成は多くの企業にとって最重要課題の一つとなっている。世界人事協会連盟による2010年の調査によれば、企業の2大課題は「リーダー育成」と「人材管理」。人材マネジメント協会(SHRM)も、「グローバルリーダーシップの開発は多国籍企業にとって必須」と述べている。

松井義治氏 講演photo松井氏は、リーダーとは何かという問いを投げかける。「リーダーの使命とは、『組織のビジョン/目標を立て、達成すること』にあり、それを資源を有効活用し、組織の規範に基づき、グローバル視点で行っていることが重要」であることを力説。また、「リーダーの役割は『業績向上×人材育成×組織力強化』の掛け算式で表されます。その働き度合いを測る指標は『業績目標の達成度合い』『部下の成長度合い』『組織力の強化度合い』」ということである。

松井氏は、すべての変革はリーダーシップによるものと解説する。「リーダーが変わらなければ、いくら戦略を変えても結果に結びつくことはありません。リーダーとは、日々の言動がどのように組織の強化変革に影響を与え、また自らを変革しているかどうかを、常に見られている存在なのです。レーダーの変革なしに、組織の変革はありえません」

リーダーに必要な「五つの能力領域と16の能力」

続いて松井氏は、グローバル環境においてリーダーに求められる能力について解説した。全世界で2万6000人ものシニアマネジメントリーダーに調査し、2002年に発表されたデータによると、リーダーには「五つの能力領域、16の能力」が必要だという。

「最初の領域は『課題解決力』。物事を解決に導くための力です。能力には(1)専門能力(知識・スキル・心構え)、(2)問題解決力、(3)イノベーション力、(4)自己開発力があります。二つ目の領域は『結果創出力』。アイデアを実現できるか、最後まで遂行できるかです。能力には(5)実行力、(6)ストレッチゴール設定力、(7)自発的に計画以上のことを実行する力があります。三つ目の領域は『関係構築力』です。いかに他の人と関係づくができるか、ということです。能力には(8)コミュニケーション力、(9)動機付け力、(10)関係構築力、(11)育成力、(12)協働力があります。四つ目の領域は『革新力』。変革を起こしていけるかどうかは、大変重要です。能力には(13)ビジョン構想と戦略構築力、(14)変革推進力、(15)外部を巻き込む力があります。最後の領域は『価値行動推進力』です。正しいことを正しく行えているか、ということで、それは(16)インテグリティです」

松井氏はこれらの能力を示した上で、「皆さんの社内にいる典型的なリーダーをイメージしてください。そこからよく開発されている能力(強み)、逆にできていない能力(弱み)を三つずつ選んでみましょう」と語り掛ける。リーダーは先述のように幅広い能力を身に付けておくべきであり、どのようなバランスにあるかを俯瞰しておくことは重要なのだ。

では逆に、失墜するリーダーの特徴は何かというと、リーダーとして避けるべき「致命的な欠陥」を持っていることだという。

「まず、失敗から学ばないこと。次に対人スキルの欠如です。人との信頼関係が築けないということですね。三つ目は、新しいもの、異なるものに対してオープンではないこと。それでは、提案しない文化が生まれてしまいます。四つ目は、イニシアティブをとらないこと。最後は、結果責任を持たないことです」

リーダーの能力は「知識×スキル×マインド」で示され、率先して学ぼう、決めたことは必ず実行し、目標を必達しようといったマインドが行動を決める。では、総合人材アセスメントが示すリーダーの必須能力とは何なのか。松井氏は、以下の5点を上げる。

「まずは責任感。自分の役割に対して行動を起こしていけるかどうか。次はゴール達成力(志向)。何が何でも達成するぞという意識があるかどうか。三つ目は影響力。周囲の人に対し、感化する力があるかどうか。四つ目は対人能力で、五つ目は自己管理能力。自分の行動を認知した上で、その場に適した行動が取れているかどうかです」

いかに多くの「チャレンジング体験」を積ませるか

ここから講演は、リーダー開発の話題へと移っていった。「皆さんが企業人として、もっとも成長できた時期を思い浮かべてください。その時、どんな仕事をしていたでしょうか。どんな環境にあったでしょうか。米国人材マネジメント協会の調査によれば、プロフェッショナル度合いを促進した要因として、70%が仕事、20%が上司、10%が自己啓発や研修からという結果が出ています。だからこそ、仕事の中で成長できる環境をつくっておかないのは、もったいないことなのです」

リーダー開発に必要な原則について、松井氏は三つのポイントを上げる。一つ目はチャレンジング業務での育成(負荷の大きな仕事、新たな仕事、異なる文化・環境)、二つ目は支援の仕組み、三つ目は評価すること。また、良いリーダーになっている人に、これまでどのような体験をしてきたかを調べたデータによると、主に以下のような体験があるとわかったという。

松井義治氏 講演photo「まず、チャレンジング体験の多さです。トップレベルのリーダーは、平均10回以上ありました。次に、複数のチャレンジング性。一つの業務の中に、複数の挑戦項目があるということです。三つ目は、上司からの学び。フィードバックや経験の教えがあるかどうかは大変重要です。四つ目は、段階的な発展・成長。いくつかの段階を経ることで、成長してきたかどうかです」

そして、グローバルで成功しているリーダーたちの体験を見ると、仕事の中で以下のような能力を磨いたことがわかったという。一つ目は専門能力、対人能力(違う文化の人とコミュニケーションできたか)。二つ目はチームリーダーシップ(困難を越えてチームをまとめられたか)。三つ目は構想力・世界観(いくつかのチームを持ったことで視野が変わった)だ。

「これらを『たまたま』ではなく、計画的に身に付けられる環境や制度、メニューが社内にあるかどうかが重要なのです」

育成に必要な「ゴール」「地図」「気付き」「成長促進剤」「鏡」

人材アセスメントは層状になっており、内側から「能力/資質→価値観/姿勢→行動特性→スキル」と並ぶ。また、グローバルリーダー育成のステップは「あるべきリーダー像の明確化、共有→上司によるロールモデル→業務で伸ばす→補佐する育成プログラム」という流れになる。松井氏は、グローバルリーダーを育成するために最低限必要な支援の仕組みとして、(1)リーダーシップ・モデル(=ゴール/青写真)、(2)W&DP(業務&育成計画)(=地図)、(3)フィードバック、コーチング、メンタリング(=気付きの拡大)、(4)育成、開発プログラム(=成長促進剤)、(5)評価システム(=鏡/ものさし)の5点を上げる。

講演の最後に松井氏は、実際にグローバルリーダー開発プログラムで行われる内容について紹介した。「グローバル環境でのチャレンジング業務としては、海外赴任、グローバルプロジェクト、海外出張があります。ここでは正しい人材の評価と選抜(アセスメント)、事前教育、評価とフォローアップがキーポイントです。また、アクションラーニングプログラムも行われており、メンバーは複数の国から参加します。他国・異国文化環境で実施され、ここではグローバルプロジェクトの協働を学びます。正しい選抜(アセスメント)、コーチ、フォローアップがキーポイントです」

グローバル環境で成果を出せるリーダーを育成するには、より実践をイメージした育成プログラムを準備し、人事としても中長期的なしくみと支援が必要であることを、講演に参加された方々は改めて理解できたようだ。

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