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ワークショップ[WS-2]

やりっぱなし研修の改善と研修効果の測定

田鍋安弘氏
有限会社パフォーマンス・レバレッジ 代表取締役
田鍋 安弘氏(たなべ・やすひろ)
プロフィール:(株)野村総合研究所、エスプール総合研究所(現:(株)ワークハピネス)の研究開発責任者を経て、(有)パフォーマンス・レバレッジを設立。成果や組織課題の解決に直結する研修&コンサルティングを提供。人事研修担当者向けの情報交換&勉強会を2006年に立上げ、これまでに延べ1000社以上の企業が参加。

なぜ、研修がやりっぱなしになってしまうのか?

今回、皆さまと一緒に考えていきたいのは、「研修がやりっぱなしになってしまう原因」の把握と、その解決策として弊社が開発した「ラーニング・エクスペリエンスマップ」を使った「研修後の行動変化と効果測定方法の具体化」です。なお、今回の内容は、過去約7年間で延べ1000社以上の企業に参加していただいた弊社の「人事研修担当の情報交換&勉強会」から得られた知見に基づいて作成しています。

さて最初に考えていただきたいのは、やりっぱなし研修になってしまう原因についてです。ここに以前、勉強会の中で人材開発担当者の方々に、まとめていただいたものがあります。そこで挙がっていた原因の一つ目は「研修に対する認識が古く、成果につながる新しい研修の方法を知らない」です。「研修はお勉強なので、成果なんかそもそも出るはずがない」と担当者も参加者も思い込んでいてやりっぱなしという、認識すらないケースです。成果を生み出したり、参加者の行動変容を促進したりする研修のやり方が、企業や担当者に認知されていないため、「参加者の満足度が高ければOK」で、研修の企画段階から、具体的な研修成果を出すということが研修の前提になっていないようです。

田鍋安弘氏/講演 photo二つ目の原因は、「研修の目的成果や研修後の行動イメージが明確ではない」です。研修後に、具体的に参加者にどう行動してほしいのかというイメージを研修企画者が持たずに、研修を実施してしまうケースです。研修をすること自体が目的になっていて、この研修を通して「参加者がどう変わり、研修後に、どんな行動をし、その結果、どんな課題の解決につながるのか?」というところまで考えられていません。したがって、研修後に何を効果として測定していいかもわからず、結果、やりっぱなしになってしまいます。

当たり前の話ですが、研修を通して、参加者の行動が何かしら変わらない限り、研修による実質的な成果は何も生まれません。環境が良い方向に変わらなければ、自らの行動を変えていかない限り、成果は変わっていきません。しかしながら、「行動を変えろ」と言えば、誰でも明日から自分の行動を変えられるかというと、そう簡単にはいきません。それは、行動を阻害する要因があるからです。したがって、研修では、研修参加者の行動変化を促進すると共に、変化を阻害している要因を取り除けるような支援が必要になります。しかし、こういった行動変容の設計が、しっかりなされていない研修が、まだまだ多いようです。

三つ目の原因が、「研修の効果を把握測定していない」です。具体的には、人材開発担当者が、「成果を出す研修がしたい」と言っている一方で、「研修効果の測定方法を、担当者が知らないもしくは決めていないのに、研修だけを実施している」という状況が起きています。研修後の検証方法を決めてないのに研修を実施すると、やりっぱなしになるのは、当然のことです。通常、担当者は、研修満足度だけで満足して、現場での実際の研修効果を把握しようとしません。また、そういった研修成果を測る際の方法やタイミングを企画の段階で決めていないので、その分の作業工数が確保されず、検証をやる時間すら十分に取れません。最近、さらに問題なのが、人材開発部署の人員削減により、業者や研修を決めるだけで手一杯になっていることです。担当者自らも、問題であることは分かっているのに、組織として対応できていないという問題が起こっています。

ラーニング・エクスペリエンスマップによる期待行動と効果測定の具体化

田鍋安弘氏/講演 photo先程、挙がっていた「研修の目的成果や研修後の行動イメージが明確ではない」や「研修の効果を把握測定していない」といった問題を解決していくための手法として、弊社が開発した「ラーニング・エクスペリエンスマップ」という手法を、今回ご紹介いたします。具体的には、研修中の参加者の状況、研修直後の行動変化、研修からある程度経過後の変化&成果の三つの視点から、研修参加後の参加者の行動変化とそれに伴う成果変化のシナリオを描きます。例えば、「不毛な社内会議の改善を目的にしたファシリテーター研修」を企画実施する場合を例にとって考えるならば、「研修中の参加者の状況」としては「これまでの自部署&自社の会議の課題が具体的になった」や「自部署&自社の会議を変えていくやり方が具体的になった」などが挙げられます。「研修直後の行動変化(3週間以内)」としては、「自部署の会議においてファシリテーターを自ら志願してやる」や「上司に会議のやり方の改善方法を提案する」などが、さらに「研修からある程度経過後の変化&成果(3ヵ月以降)」としては、「新しい会議のやり方が自部署で定着してきている」や「自部署の会議改善の試みが、社内のベストプラクティスになっている」などが挙げられます。先程挙げたような行動変化や成果のイメージが具体的であればあるほど、成果につながりやすくなりますし、研修効果の測定もしやすくなります。

参加者に期待する行動変化や行動変化に伴う成果が具体的に描けたら次は、研修前、研修中、研修直後、研修からある程度経過後の四つのタイミングで、人材開発担当部署として、参加者にどのような支援を行う必要があるのか、また、どのような変化を把握測定していく必要があるかを考えていきます。先程の事例であれば、「研修参加者の上長に、参加者が会議をファシリテートできる機会を与えてもらえるように、人材開発担当部署から事前に依頼しておく」というのが、「研修直後」の人材開発部署からの支援の一例になりますし、「研修後、自部署の会議を実際に今回学んだ方法でファシリテートした参加者の人数」や「研修前後での会議参加者に対するアンケート結果の比較」というのが、研修効果測定の一つの切り口になってきます。

ラーニング・エクスペリエンスマップを作成した参加者の感想

田鍋安弘氏/講演 photo
  • 「研修をやっても身につかないからムダ」という上司に反論できず、効果測定に悩んでいましたが、そもそも研修は行動の変容を促すものだと忘れていたことに気づきました。測定も大切ですが、「どのような効果(=行動変容)」を期待しているのかをまず考えれば、研修自体のあり方が変わり、上司を説得できると確信しました。
  • ラーニング・エクスペリエンスマップを作成することで、研修は参加した個人が影響を受けるだけではなく、組織全体にも影響していくことを、改めて認識しました
  • あるべき姿をイメージしながら、どう人材開発部署として関わるべきかについて深く考えることができました。また、最初の研修設計時の重要性がわかりました。次の研修を考える際に、ラーニング・エクスペリエンスマップを使って考えてみたいです。

人材開発担当者に実践していただきたいこと

このワークショップにも、皆さまにやっていただきたい期待行動があります。一つ目は、既に企画実施している研修について、そこで求めている具体的な成果と研修後に期待する行動の変化を、明確にしていただきたいということです。可能ならば、ラーニング・エクスペリエンスマップを作成していただき、いま何を考慮していて、何が考慮できていないのかという正確な現状分析をしていただきたいと思っています。

二つ目は、研修後の実践報告を、3週間~1ヵ月後のタイミングで、参加者から提出してもらい、研修の評価指標に加えていただくことです。多くの企業では研修の満足度を研修成果の指標として使っていますが、実は、研修の満足度は、講師が意図的に上げることができます。具体的には、研修中は参加者に厳しいことを言わず、講師が、研修の中盤くらいからやたらと、参加者を褒めまくるのです。これをやると確実に満足度が上がります。以前、依頼した講師がとんでもなかったときに、この話を思い出して、実際に試した担当者の方がいました。同じ講師かつ同じ研修で、複数回の研修を実施したそうですが、前述の内容を講師に実践してもらったときには、研修の満足度が格段に上がったらしく、「研修の満足度って、こんなに簡単に操作できるものなのですね」と驚いていました。

三つ目は、可能ならば1~2ヵ月後に、実践結果を振返る機会を取っていただくことです。振返りの仕方は、フォロー研修という形もありますし、参加者の個別ヒアリングやアンケートといった形もありますが、ポイントは、研修後の変化を追いかけることにあります。

四つ目は、担当者自身が、人材開発の専門家になるように、さらに学びを深めてもらうことです。過去と比較すると、より高度な課題解決が人材開発に求められるようになってきています。極論を言えば、以前は、研修業者を選ぶことが人材開発担当者の役割でしたが、今では、ビジネスに直結する成果や組織変革の支援が求められています。その要求に応えていくためには、人材開発に関する専門性を高めていく必要があります。弊社では、定期的に「人事研修担当者のための情報交換&勉強会」という場を企画開催していますので、是非そちらの方にもご参加下さい。最後の五つ目は、ここが一番、我々にとって重要なのですが、弊社パフォーマンス・レバレッジに相談&依頼していただくことです。

ぜひ、今回の学びと、この五つの期待行動の実践を、貴社の人材開発の強化改善につなげていただければと思います。本日は、ありがとうございました。

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有限会社パフォーマンス・レバレッジ

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