アルバイト採用で、最近聞かれる課題は“応募者の量と質が落ち、採用コストが上がり、定着しない”という三重苦だ。「その背景にあるのは少子高齢化による労働人口の減少。その上、最近は小型店舗が増え、人材不足に拍車がかかっている」と八畑氏。しかし、企業の採用方法は以前と変わらず、何度も求人広告を掲載する手法だ。
改善のカギは「計画採用にある」と八畑氏は指摘する。ポイントは四つ。一つ目は「不足人材予測」。「人が辞めた理由を聞いてみると、コミュニケーションが取れていなかったためという理由が多い。そこで店長に定期的に人員予測をしてもらい、本部に報告してもらいます。定期以外の人員募集は行いません。すると必然的にスタッフとのコミュニケーションは密になっていきます」。大手パチンコチェーンの例では、1ヵ月ごとの計画採用を実施したところ、応募単価が85%削減できたという。
二つ目は「一元管理」。採用業務を効率化し、重要業務に集中させることが目的だ。「これにより合同募集や掲載調整が可能になります。全国の効果事例の共有により応募の質・量のアップも期待できます」。ある大手居酒屋チェーンは、システム導入による一元管理で、広告費を35%削減することに成功した。
三つ目は「データ活用」だ。反響や採用・定着の詳しいデータを収集することで、媒体選定や確率の高い採用手法を構築できる。「数値化、見える化すると採用への意識が変わっていきます。関係がうまくいくベテランと新人の比率を見るなど、店舗の人員配置にも使えます」。ある大手ファミレスチェーンでは、これまで応募がありながら、店舗の忙しさから対応できず取りこぼしが多かった。しかし、データ管理の徹底で応募者への未対応をゼロにすることができたそうだ。
四つ目は「脱求人広告依存」。「人が定着する良い会社づくり」を目指すといった本質の変革を考えることを目的とする。「大事なのは採用に振り回されず、あくまでも主導するのは自分たちと自覚すること。また、アルバイト採用は個人のパフォーマンスに依存するのではなく、トータルに会社として仕組み化することが重要です」
最後に八畑氏は「アルバイトにまだまだ光が当たっていない」と指摘。「アルバイトは会社を支える大切な人材。それに値する対応を、皆さまにはぜひお願いしたい」と締めくくった。