就職活動中の学生の人気が大企業や上場企業に集中し、多くの企業が優秀な人材の採用に頭を悩ませている。「新卒採用というフィールドでは、これまであまりスポットが当たることのなかった美大・芸大生ですが、『新しい顧客価値』を生み出していくために、近い将来、一般企業が積極的に採用していくことになるでしょう」と中堂薗氏は言う。
業界最大手の人材系企業でクライアントの採用支援や、自社の新卒採用業務、大学の募集戦略や学校改革の支援を18年間経験してきた中堂薗氏。大学のキャリア支援など、学校法人ソリューションを展開し、自社でも30年間で30人強の美大・芸大生を採用してきたというエム・シー・アンド・ピーの実績から、いち早く美大・芸大生の「創造性」に着目したそうだ。
美大・芸大生の採用に積極的に取り組んでいる企業はまだ少ないのが実情だが、企業社会のスタンダードに染まっていない、好奇心や創造性を保持する人材は、新しい発想やイノベーションが求められる時代には必要な存在。競争相手に先んじるなら、今が採用のチャンスなのである。
中堂薗氏は、そんな美大・芸大生の魅力を次々と列挙していく。「第一に、即戦力になる表現技能を持っている点。第二に、専門業種に関する複数のタスクを一人で何役もこなせる器用さ。第三に、正解のない仕事(課題)に取り組んできた経験。実社会では、やってみなければわからないことが多いものですが、彼らはとまどいを感じません。第四に、必ず他人とは異なる答を出そうとする独自性。一般の大学では他人と同じ『正解』を求められますが、美大・芸大生には本能的に他人と違うことをしようとする創造性が備わっています。第五に、理系に劣らない勉強量と粘り強さ。好きなことに取り組んでいるだけだと認識されがちですが、彼らのやり抜く粘り強さは、まさにビジネスマンに必要なスキルです」。これだけでも、美大・芸大生が社会人に適した能力・資質を持っていることがわかるだろう。
講演最後の質疑応答では「偏差値は一般の大学生と比較していかがですか?」「ストレス耐性をどのように分析していますか?」などの質問が積極的に投げかけられ、企業からの関心の高さも見て取れた。企業と美大・芸大生の架け橋になり、数多くの企業に新たな流れを作っていこうとする、同社の今後の活躍が注目される。