「コーチアプローチファシリテーション」とは、「人間力」をベースに、コーチングとファシリテーションを組み合わせて、それぞれのシナジー効果を創発する体験・実践型の研修だ。この研修が求められてきている背景について、大山氏は次のように分析する。「今は答えがない時代です。モノではなく、精神的な満足が一番大きな報酬となっています。給料やポストから心の時代に変わった事をリーダーは知っておくべきです。自分の思い通り、会社側の方針通りを伝えるだけの操作主義では部下は動きません。それよりも、一緒に働いていると気分がよく、部下の人間的な魅力も引き出すことができる、人格主義のリーダーが必要とされています」
リーダーにとって、場に対する感受性は特に大事だと言う。その理由は「人間は自分の存在を認めてもらわないと、怖いと感じる動物だからです。逆に『あなたはそこにいていいよ』と言われると安心感が生まれ、場は良くなります。場が良い組織では、自分を守ってくれる人たちが周りにいて、そこで自分も成長できるという気持ちが連鎖していきます」。場づくりによって、個人と組織の成長が実現できるわけだ。「コーチングでは1対1の安心の場、ファシリテーションでは複数の安心の場を作ることが重要ですが、これら二つのベースにあるのは人間力なのです」
このことは、スキルとしてだけのコーチングやファシリテーションではうまくいかないことからも分かる。「頭ごなしに正しいからやれと言われても人は動きません。感情が行動を支配しているからです。感情を判断しているのは、その人の価値観。価値観のプログラムは個人的体験によって作られます。ですから、すべての人間は思い込みを持っている。そこに気づいて、自分の価値観を緩めて、相手の価値観を受け入れると人間力は高まります。価値観は変えることも、新しく作ることもできるころを知ってもらいたいでのです」
人間力を向上させる基本的なコミュニケーションとは「聴くこと」と「承認すること」。「聴いてもらうことは、相手に認められているという人間の本能に繋がります。承認してもらうことは、自分の存在価値を認めてもらえたという意識を与えます。ともに安心や安全が感じられるため、人は心を開くのです。今までに多くの企業を調査してきましたが、やはり素晴らしいリーダーはメンバーの話をよく聴き、人を認めていますね」と大山氏は締めくくった。