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特別講演[OSA-1]

労働安全衛生法改正を踏まえたストレスチェックの活用事例

小谷紗智子氏
株式会社 保健同人社 EAPグループ 関西支局 EAPコンサルタント
小谷 紗智子氏(こたに・さちこ)
プロフィール:米カリフォルニア大学ロサンゼルス校心理学部卒業後、米コロンビア大学大学院臨床心理・カウンセリング学部にて修士号取得。現地大学病 院内にて相談・研究等に携わる。現職ではEAPコンサルタントとして、関西圏を中心にカウンセリング、職場復帰支援、惨事ストレスケア、人事コンサルテー ション、研修講師等として活動。

ストレスチェックを入口に取りこぼしのない体制を模索

ストレスチェックを全ての事業所に義務づける、「ストレスチェックの法制化」を国が目指している。「精神障がい者の労災補償状況を見ると、請求件数は3年前に1000件を超え、さらに上昇を続ける勢いです」と小谷氏は語る。自殺者も14年連続で3万人を超えた。「交通事故死が2011年で4611人ですから、その6倍を超えています。1日に82人、1時間に3人という数です」。自殺相談には四つの特徴があるという。(1)業務過多による長時間労働による疲弊、(2)過剰に重い責任による精神的負担、(3)目標に向けた努力が実らずに生じる落胆、(4)不本意な人員配置、退職勧告、いじめなど職場での人権侵害だ。

小谷紗智子氏/講演 photoそれでは、改正法律案とはどんな内容なのか。「安全衛生法によるストレスチェックが事業者に義務付けられます。大手企業ばかりでなく、中小企業も必ず実施しなければなりません。そもそも、この改正はすべての企業に適用することがきっかけの一つとなっています」と小谷氏。

厚生労働省が示したストレスチェック内容は、以下の9項目。「ひどく疲れた」「へとへとだ」「だるい」「気がはりつめている」「不安だ」「落ち着かない」「ゆううつだ」「何をするのも面倒だ」「気分が晴れない」。これに個人であてはまるものにチェックし、点数を集計。検査結果は企業には知らされず、本人だけに通知される。本人から申し出があれば、企業は面接指導を受けさせることが義務付けられていると言う。

すでに率先してストレスチェックを行っている企業もあるが、悩みもあるようだ。「『毎年社員にストレスチェックを行っているが、結果をうまく活用できていない』『検査結果は本人しか知れないので、結局本人任せになっている』などの声が聞かれます」と小谷氏は語る。チェックの望ましい施策としては、(1)高リスク不調者の発見・対処、(2)ストレス不調者の回復支援、(3)能力開発(ストレス耐性の向上)、(4)組織改善(管理職の対処能力向上)が挙げられた。

チェック結果の人数分布を見ると、深刻な人は全体の5%程度。何らかの不調ありと見込まれるレベルが一番多くて約60%。ほぼ軽微~問題なしが35%以下。「ストレスチェックは施策の一つであり、入口に過ぎません。全社員を対象とした組織的なEAPなどの活用を考えてほしいと思います」。今後は経営トップも含めて、広く理解が求められる問題になりそうだ。

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