学校や企業の海外研修・留学の実績、旅行業を通じて培った海外オペレーション力などのノウハウを背景に、JTB法人東京ではグローバル人財育成プログラムを提供している。「語学ができても現地になじむのに苦労する社員がいるため、異文化対応力を養いたいといった相談が4、5年前から増えています」と鶴田氏は語る。そのためには座学で知識を得るだけなく、知識を使う実体験こそが重要だと言う。
JTB法人東京が実施する海外での異文化・ビジネス体験型研修は、国内での事前研修からスタートする。派遣先の国の文化・歴史・経済を学び、ビジネスを想定したテーマや仮説を立案しておくためだ。その後、海外での実体験を経て、グローバル視点での気付きやテーマ発表、ビジネス提案を行う。「インターンシップを利用した交流のニーズも高まっています。コンテンツとしては企業訪問による社員交流、大学でのリサーチ活動やディスカッション、ホームステイによる家庭レベルでの文化風習やマナー体験などがあり、これらをいくつも組み合わせたプログラムをカスタマイズしています」
海外生活を疑似体験できる国内研修も行っている。一つは留学生との合宿スタイルによる「グローバルビレッジ」。明確な目的を持って来日している海外の若者たちとの議論も体験でき、最近の外国人の考え方やコミュニケーション方法に発見があると、支持されている。もう一つは、日本在住のビジネスパーソンからビジネススキルを学ぶ「グローバルビジネスカルチャー」。ロールプレイイングを通じて、プレゼンテーションやネゴシエーション、ビジネスマナーなどを実践的に身につけることができるそうだ。
語学研修ではアジア圏、特にフィリピンの人気が高い。鶴田氏によると、「理由は費用の安さと、独自に提供されるマンツーマンレッスン。1ヵ月でTOEIC100点以上アップも期待できます」とのこと。ただし、海外での対応力はTOEICでは計れない。「そこで、現地の人と一緒に、サバイバルやチャレンジができるタイプかどうかを可視化する、アセスメントを導入しています」
同社のサービスは、新卒者のグローバル力を見たり、海外への人員配置時の参考資料としたりすることはもちろん、海外研修の効果測定にも活用できる。ビジネス体験、異文化体験、語学研修と組み合わせることで、グローバルに活躍する人材の創出・抽出を、一層効果的に行うことができるだろう。