「組織変革のカギを握るもの、それは見えない組織文化を見える化することです。組織文化が組織の発展にとって好ましいものであれば、組織変革は進めやすくなり、好ましくないものならば、変革を阻害します。しかし、組織文化は中々見えないが故に、明確な打ち手が出せない。その見えない組織文化を『見える化』することが改革への第一歩です」と越膳氏は語る。組織文化とは、その組織に所属する大多数の人たちが、「何を当たり前と考えていて」「どんな行動パターンができあがっているのか」「どのようなモノが生み出されているのか」によって特定されるもの。そこで企業の組織文化への影響力を感覚的に理解し、その正体を整理し、「見える化」することが重要だと言う。
そもそも企業の使命は何か。「それを決めるのは企業自体ではなく顧客である」というドラッカーの言葉があるように、「顧客に対するお役立ち」こそ、企業の目的と言える。それに向かおうとする文化を社内で醸成することが大事だ。「市場顧客に対する貢献の精神と技量を極め続けていくことを『お役立ち道』と言います。お役立ち道の文化とは、お役立ちに向かって結束してチャレンジし、新たな価値を創造し続ける組織文化のこと。その文化を特定するのは『挑戦・協調・貢献』の価値観であり、この点を明確にすれば全体像が見えてきます」と越膳氏。
ここで組織文化の分析のために用いられる手法は、社員へのアンケートとインタビューだ。アンケートは「入社暦・階層別」や「所属グループ別」の回答のバラつきや、挑戦・協調・貢献の価値観のバランスをチェック。また、回答が特徴的な設問を分析したり、点数の高い設問・低い設問を比較検討したりする。インタビューは個別なら一人30分程度、グループ形式なら2時間程度実施。「組織に挑戦・協調・貢献の価値観がどの程度根付いているのか。特にどの意識が強いのか、弱いのかなどを聞き出します。そして強弱のバランスやアンケート結果から推察される特徴的な風土を確認。今後よりよい風土を醸成し、業績を上げ続けるために必要と推察される組織運営上の課題を見つけます」
「社内では当たり前になっているが故に客観的な分析が有効です。ぜひ試してみてください」と越膳氏は締めくくった。