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特別講演[C-6]

若手社員がプロとして、企業方針を理解し、
自らのキャリア開発を自発的に行う指針を与える

蓮沼孝氏
株式会社ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ
代表取締役社長 レゴ・シリアス・プレイ認定ファシリテーター
蓮沼 孝氏(はすぬま・たかし)
プロフィール:早稲田大学理工学部卒、米国ペンシルバニア大学ウォートン校大学院修了(MBA)、三菱商事出身。株式会社グロービスにて法人営業責任者を務め、論理思考のカリキュラム開発、事業経営者のプログラム運営を主導。マレーシアの複合事業会社での事業経営に従事した経歴を持つ。著書に<成功するキャリアデザイン>(日本経済新聞社刊・堀義人共著)がある。

手・指で創る、新たな知識の力が、人と組織を変える

レゴ・シリアス・プレイ(LSP)とは、2001年にデンマークで開発されたレゴ・ブロックを使った研修プログラムだ。ファシリテーターが出した課題に沿って各自がレゴ・ブロックを組み立て、作品について説明し、メンバーで質問し合いながら進めていく。「個人の価値観やビジョンといった形のないものを、手を動かしながら形にしていきます。人は手を動かすことで、頭の中で理論や知識構築を同時に進めることができるのです。通常の会議形式は、全体の2割の人が場の8割を独占してしまいますが、LSPを活用したワークショップ形式では、全員参加で平等に貢献できるオープンな対話が可能です」

蓮沼孝氏/講演 photo「では、少しやってみましょう。この六つのパーツを使って、あひるを作ってみてください」と蓮沼氏は声をかけた。参加者は実際に作品を完成させていったが、一つとして同じ形にはならない。研修ではここから自己紹介に導く。レゴ・ブロックを使う利点は、お互いの考えが形として見えることだ。専門的な知識がなくても思いを形に表すことができる。「ここでは、過去を分析するようなWhy(なぜできないか)について問わない。未来を実現する為にHow(具体的に各自が何をするか)を議論するのです」

キャリア開発・ワークショップの構成は基礎スキルの演習に始まり、「過去の自分」づくり、「未来の自分」づくり、「原動力」と「障壁(抑制力)」の確認、そして仮想共同プロジェクトへ進む。「レゴは作品を動かしたり、メンバーの作品とつないだり、壊したりとすべてが自由です。壊すという作業に挑戦することで、まず試してみようというマインドを持つのです」

企業の活用事例を挙げると、ある専門商社が全国の営業マネジャーに、多様な顧客に対するミッションやビジョンを明確化、横の協力関係を強化。また、ある運動用品メーカーでは、中堅幹部社員に企業方針と自らのキャリア開発の指針を明確にさせる研修に使用した。その他、不動産会社シンクタンク、製薬会社、エンジニアリング会社、産業機器メーカーなど幅広い業種で利用されています」。組織を「樹」、人を「根っこ」と考えると、会社とは根っこが異なる機能を果たしながら、樹に共通の貢献を果たす形と言える。そこでLSPを使うと、根っこの価値観や貢献の可視化ができるのだ。「研修によって個人の意識・行動が変化し、これが組織改革へのコミットメントとなります」と蓮沼氏は語った。

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