まずは、トレーニング・カンパニー代表取締役社長の丸茂喜泰氏が、同社の研修のコンセプトである「職育」について語った。「私たちが掲げる『職育』には二つの意味合いがあります。一つは、職を通して個人を育てること。具体的には、自分自身でPDCAサイクルを回せるような自立型人間を育てることを目指しています。もう一つは、職場を育てることです。そもそも人間というのは飽きっぽく、忘れやすく、楽をしたがる生き物です。ですから、いくらセルフマネジメントが重要だと伝えてもなかなか身につきません。では、どうすればいいのでしょうか。一つには職場環境を変える、つまり職場を育てるという方法があります」
ここで丸茂氏は、この場で六つのアクションを試してほしいと聴衆に呼びかける。
〈拍手をする、ハイタッチするなど〉
会場の全員が立ち上がってこれらのアクションを行うと、一気に盛り上がった。「誰でもできる簡単なことですが、これだけで『何だか、楽しい!』という雰囲気になります。実はこの『空気』が非常に大事なのです。誰もが空気に乗せられて『よし、頑張ってみよう』『チャレンジしよう』という気持ちになるわけです。私たちはこうした職場の雰囲気づくりにも重点を置いています」
次いで専属講師兼事業部統括マネージャーの荻野純子氏が壇上に上がり、同社の研修プログラムの一つである「ゲントレ」(現場実践PDCAトレーニング)を用いて人材育成を成功させた実例を紹介する。「従業員200人ほどの水産関連会社で、業績が2年以上昨対割れの状況にありました。そこで私自身が担当となり、『ゲントレ』をスタートしました」。4人の店長にP、つまり目標数値と活動計画を考えさせるところから始め、D(行動)、C(検証)、A(改善)と実行していくと、驚くほどの成果が表れたと言う。「実は1店舗だけ出遅れたのですが、それを見かねた3人の店長がわれわれも支援すると自ら名乗りを挙げ、協力したのです。『ゲントレ』を通して、自分たちが会社を引っ張っていかなければならないという意識が芽生えたのでしょう。結果、数ヵ月後には4店舗とも昨年を上回る売上げを達成しました」。同社では「ゲントレ」のほかにも、さまざまな研修プログラムを用意。個の成長、組織の成長に大きな効果を上げているとのことだ。