戦略的人材マネジメントとは
~日本オラクルが実践するタレント・マネジメントから考える~
日本オラクル株式会社 執行役員 人事本部長 兼
日本オラクルインフォメーションシステムズ合同会社HR Vice President-Japan
遠藤 有紀子氏
ビジネスの国際化が進む中、日本企業の多くが人材マネジメントに関して課題を抱えています。本セッションでは人材マネジメント論の第一人者、一橋大学 守島基博教授が日本企業が目指すべき人材マネジメントについて詳しく解説。日本オラクル 人事本部長 遠藤有紀子氏に、世界145ヵ国以上で事業を展開するオラクルのタレントマネジメントの先進的事例をご紹介いただきながら、国際競争を勝ち抜くための人材マネジメントについて考察します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
遠藤:グローバルでの競争が激化している中、日本企業のグローバル人財管理の変革が求められています。また、日本企業の国外の売上高は今後も継続的な成長を遂げていく必要があります。
今、人財開発に携わる人事部門が経験や勘のみに頼るのではなく、客観的データに基づく、戦略的な採用、育成、評価、配置などにいかにスピーディーに対応できるかが、今後の企業の業績に大きな影響を持つと考えられます。
そうした中、日本オラクルでは、グルーバル企業の日本法人として、親会社のM&A戦略・グローバルトップタレントの早期育成・ダイバーシティ・マネジメントなど、組織・個々人の自律的なキャリア・ディベロップメントを主軸としたタレント・マネジメントを実施しています。
効果的な人財育成の仕組みの導入、定着化について人事部門としてどのような実施計画を策定し、実施してきたのか? また今後どのような事に取り組んでいこうとしているのか? 日本オラクル人事部のタレント・マネジメント事例と展望を、今までの苦労話なども織り交ぜながらお話し致します。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
遠藤:日本オラクルは、企業の事業活動の基盤となるソフトウェア・ハードウェアならびにそれらの利用を支援する各種サービスを提供しています。また、それらの技術は常に進化しており、オラクルは絶え間ない技術革新よって製品の優位性を維持し続けるとともに、M&Aを繰り返すことにより、市場占有率を高める戦略をグローバルに展開しています。
オラクルの人事管理はそれらの製品、サービスを用い、グローバルで定期的に打ち合わせを実施し各国の要求を織り交ぜながら、グローバルで統一化された仕組みを築きあげて来ました。特にM&Aでは、人財をきちんと受け入れ両社間で異なるさまざまな仕組みを統合しながら、人財を可視化し、コストを削減し、利益を上げていくことを実施しました。タレント・マネジメントに関しては効果的な人財育成の施策を次々に実現しています。
組織の変革・スピード・AGILITYの醸成に、どう人事部が変化し、その中で社内でどのようにIT活用をしてきたのか、実例に基づいてお話しすることが可能です。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
遠藤:タレント・マネジメントも人財育成も、制度があるから完成ではなく、ましてや人事部のためのプロセスでもありません。組織強化のための経営者・事業部門のマネジメントプロセスの一環です。
そのために刻々と変化するビジネス環境において、最新の客観的なデータを経営者・事業部門に提供するためにも、ITの力を借りることは不可欠です。
当社はITソリューションを生業としていますが、それらのソリューションを効果的に活用するためにさまざまなステージを経ていますし、今も進化し続けています。タレントマネジメント、チェンジマネジメント等、IT Powerに よって実現したことも多くありますので、今回ご紹介できればと思っています。
- 日本オラクル株式会社 執行役員
人事本部長 兼 日本オラクルインフォメーションシステムズ合同会社HR Vice President-Japan - 遠藤有紀子氏(えんどう・ゆきこ)
- 大学卒業後、バンク・オブ・アメリカ東京支店へ入行。1993年日本ゼネラル・エレクトリック株式会社に入社。企画開発部を経て人事部に配属。その後は一貫して人事プロフェッショナルとして活躍。2004年にIT業界へと転じ、日本ピープルソフト株式会社 HRディレクターとしてマネジメントに参加。2005年1月、オラクル・コーポレーションによる同社買収後の日本法人、日本オラクルインフォメーションシステムズ株式会社(現合同会社)で人事部門長としてHRシニアディレクターを担い、オラクルの戦略買収に伴う人事マネジメントに従事。2007年より現職。