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「HRアワード2018」受賞者インタビュー

『がんに負けるな』全社で支え合う伊藤忠商事の「がんとの両立支援施策」

伊藤忠商事株式会社 人事・総務部長 垣見俊之さん

総合商社の伊藤忠商事は、最少人数で最大成果を発揮するという理念のもと、社員の健康管理・増進に注力してきました。2017年に始めた「がんとの両立支援施策」では、国立がん研究センターと提携した特別検診や、先進医療費補助などで社員を支えています。2018年度には、仕事で発揮している能力を闘病にも活用しようと、社員の個人業績目標に業務として「仕事との両立」を設定し、サポートしています。これらの施策は、日本の人事部「HRアワード2018」企業人事部門 優秀賞を受賞。その他にも同社では、長期疾病を患う社員の支援、健康経営の考えを取り入れた社員寮の開設などに取り組んでいます。人事・総務部長の垣見俊之さんに、今回受賞した取り組みをはじめとする健康経営の方針や新しい施策の目的などについて、お話をうかがいました。

伊藤忠商事株式会社 人事・総務部長 垣見俊之さん

Profile

かきみ・としゆき/1990年慶應義塾大学経済学部卒業後、伊藤忠商事入社と同時に人事部に配属。1995年10月から実務研修生として約1年半 ニューヨークに派遣。帰国後人事考査・労務問題・職務給制度導入・組合対応など人事制度全般を担当。2003年より、4年間伊藤忠米国会社のDirectorとして再度ニューヨークに駐在。HRデューデリや北米地域の人事戦略全般を担当すると共に経営企画も兼任。帰国後2008年4月より伊藤忠におけるグローバル人材戦略全般の構築・推進、また2011年4月からは本社のダイバーシティ推進も兼任。2012年4月より企画統轄室長として、人事・総務全般の戦略・企画立案を担当。2016年4月より現職

最少人数で最大成果を発揮するために必要な健康力

――はじめに、健康経営に取り組む意図をお聞かせください。

伊藤忠商事は、いわゆる5大商社の中でも極端に単体従業員数が少ない少数精鋭体制をとっています。そのため、限られた人材で生産性を高く保つことを前提とした経営を行う必要があります。

生産性を高めるためには、一人ひとりの力量やスキルの向上はもちろんですが、そもそも能力を最大限に生かすには、心身共に健康であることが重要です。さらには伊藤忠で働く事に意義を感じ、主体的に会社や組織に貢献しようというエンゲージメントが高い状態であることが必要となってきます。つまり、社員の「能力」「健康力」「エンゲージメント」から成り立つ、いわゆる「伊藤忠生産性方程式」を高めることがポイントであると同時に、この生産性方程式の基盤となる施策が「働き方改革」であり、健康経営もその一環です。

――働き方改革といえば、貴社は朝型勤務制度を導入していることでも知られています。

20時以降の残業を原則禁止とし、代わりに早朝勤務(午前5時~同8時)を推奨する制度を、2013年10月に導入しました。多残業体質から脱却し、効率的に働くことが狙いです。社員の心身の向上や、健康状態の改善にも寄与しています。併せて、社内の会食や飲み会は「1次会のみ夜の10時まで」に終了するように呼びかける「110運動」を推進するなど、効率的に時間を活用する意識改革を行っています。

朝型勤務は導入当時、体内リズムを研究されている神戸大学大学院の塩谷英之教授に医学的な見地からご意見をいただきました。朝早起きして食事をしっかり取ることで、ドーパミンやセロトニンといったホルモンの分泌が増し、アクティブさやポジティブさも増すそうです。

――朝型勤務制度を導入して5年近く経ちますが、継続するためにどのような工夫をされていますか。

朝型の生活を習慣化させる仕掛けに力を入れています。例えば、早く来た社員への軽食の無料配布。メニューは、四季に合わせたものや健康増進に配慮したものなど、毎週変えて充実させています。

また、「伊藤忠朝活セミナー」を月に1度実施しています。脳科学者の茂木健一郎先生や、棋士の羽生善治さんなどの著名人を招いた講演は、最新トレンドを知り、教養を深めることができると好評です。朝7時半からの開催ですが、東京本社だけでなく大阪にも中継し、多いときは500人近くが集まります。こうしたイベントをきっかけに、朝から脳を使うことがいかに効率的な働き方につながるのかを実感できる仕組みにしています。

朝型勤務を徹底させるため、推進状況を評価制度に反映しています。優良な組織を表彰する制度においては評価項目に「朝型推進度」を盛り込み、組織長の個人業績評価の際にも、「働き方改革推進」などを含めた「組織マネジメント」項目を目標として設定することを必須化しました。他にも、組織のリーダーが自ら朝型勤務に取り組むよう工夫しています。

この続きは「日本の人事部 LEADERS(リーダーズ) Vol.7」でご覧になれます。

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