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日本の人事部 LEADERS(リーダーズ)

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「HRアワード2017」受賞者インタビュー

味の素のグローバル化に向けた“トランスフォーメーション”による人財マネジメント変革

味の素株式会社 理事 グローバル人事部 次長 髙倉千春さん

味の素は世界130以上の国や地域で事業を展開する、日本におけるグローバル企業の草分け的存在です。しかし数年前まで、人事制度の仕組みは「職能資格制度」をベースとした「日本的」なものでした。「人事全体の仕組みや考え方を変えていかなければグローバル展開は難しい」――そう考えて近年、変革に注力しているのが、同社グローバル人事部次長の髙倉千春さん。味の素を真のグローバル企業へと変革するための動きが活発化していますが、その際には「チェンジ」ではなく「トランスフォーメーション」が重要だと言います。人事プロフェッショナルとして長年にわたり数多くの実績を残してきた功績が高く評価され、日本の人事部「HRアワード2017」では、企業人事部門 個人の部 最優秀賞に輝いた髙倉さんに、ご自身のキャリアを振り返ってもらうと同時に、日本企業がグローバル化を図る上でのポイントについてお話しいただきました。

味の素株式会社 理事 グローバル人事部 次長 髙倉千春さん

Profile

たかくら・ちはる/津田塾大学(国際関係学科)卒業。1983年、農林水産省へと入省。1990年にフルブライト奨学生として米国Georgetown大学へ留学し、MBAを取得。帰国後、1993年からコンサルティング会社にて、組織再編、新規事業実施などに伴う組織構築、人事開発などに関するコンサルティングを担当する。その後、人事に転じ、1999年ファイザー株式会社、2004年ベクトン・ディッキンソン株式会社、2006年ノバルティスファーマ株式会社において人材組織の要職を歴任。2014年7月味の素株式会社に入社し、2017年7月から現職。同社のグローバル戦略推進に向けたグローバル人事制度の構築と推進のリード役を務めている。

伝統的な日本企業・味の素に感じた「課題」とは

――髙倉さんは外資系企業を中心に、長年にわたってグローバル人事としてのキャリアを積み重ねてこられました。味の素に入社されて気付いたこと、課題だと感じたことは何だったのでしょうか。また、どのような方向に改革していこうとお考えになりましたか。

味の素に入社したのは2014年7月です。グローバル化に向けた人事制度改革の話をいただき、伝統的な日本企業の味の素での人事制度改革なら、私の今までの外資系企業での経験が活かせるのではないか、と考えました。また、日本企業の今後の成長に貢献したい、という強い思いもありました。

ノバルティスファーマの頃、採用担当として1年間に400人もの採用を行っていましたが、経営トップを担う人材の採用もリードしました。そのときに感じたのが、日本における外資系企業の社長となる人材のプールが年々、縮小していたことです。グローバル経営を展開する際、トップを任せることのできる人材は本当に限られていました。このままグローバル経営を任せることのできる経営人材が育たないと、日本企業の地盤沈下は避けられない、と思ったんです。

例えば外資系企業にいた頃、私の上司はほとんど本社の人事担当役員だったのですが、それが徐々に中国やシンガポールへ移っていきました。日本法人のポジションがどんどんと下がっていく実態を目の当たりにし、非常に悔しい思いをしました。このような問題意識を持って味の素に入ったわけですが、まず感じたのは、グローバル競争の上での改革のスピードに課題があることです。

では一方で、なぜファイザーが製薬会社の売上ランキングで世界一になれたかというと、自ら積極的にリスクテイクしたからです。当時の社長が言っていたのは、「60%OKならば、チャレンジする」。経営としてビジネスが成功する確率が50%ではダメですが、行けそうな確率が10%高い60%なら、素早くチャレンジすることが重要だということです。というのも、ビジネスの世界では最初にチャレンジしたファーストランナーの得る利益が大きく、またファーストランナーだからこそ、何か問題があった時に引き返すこともできます。しかし、2番手、3番手ではそうした経験や余裕がなく、戻ることが難しい。ファイザーは、リスクを取るファーストランナーをよしとする考え方でビジネスを捉え、常にリスクを取っていろいろなことにチャレンジしたからこそ、世界一になれたのだと思います。

この続きは「日本の人事部 LEADERS(リーダーズ) Vol.6」でご覧になれます。

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