人事の常識や社内の慣行にとらわれない!
人と事業をつなぐミッションに挑み続ける“ソフトバンク流”人事改革
源田 泰之さん(ソフトバンク株式会社 人事本部 副本部長兼 採用・人材開発統括部 統括部長兼 未来人材推進室 室長)
日本の人事部「HRアワード2019」企業人事部門 個人の部 最優秀賞に輝いた、ソフトバンク株式会社人事本部 副本部長の源田泰之さん。ソフトバンクの採用・人材開発の責任者として、ソフトバンクグループの後継者育成機関「ソフトバンクアカデミア」や新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」、H R テクノロジーを活用した採用など、さまざまな施策を打ち出して、成果をあげています。「HRカンファレンス」や『日本の人事部』にもたびたび登場するなど、人事のオピニオンリーダーとして知られる源田さんに、これまでのキャリアの軌跡やソフトバンク人事部門の展望、日本の人事が抱える課題についてお話をうかがいました。
げんだ・やすゆき/1998年入社。営業を経験後、2008年より現職。ソフトバンクグループ社員向けの研修機関であるソフトバンクユニバーシティおよび後継者育成機関のソフトバンクアカデミア、新規事業提案制度(ソフトバンクイノベンチャー)の責任者。SBイノベンチャー・取締役を務める。孫正義が私財を投じ設立した、公益財団法人 孫正義育英財団の事務局長。孫正義育英財団では、高い志と異能を持つ若者が才能を開花できる環境を提供、未来を創る人材を支援。教育機関でのキャリア講義や人材育成の講演実績など多数。日本の人事部「HRアワード2019」企業人事部門 個人の部最優秀賞 受賞。
人事の仕事は事業戦略と密接につながっている
「HRアワード2019」企業人事部門 個人の部 最優秀賞 受賞、おめでとうございます。受賞されたご感想をお聞かせください。
受賞の一報をいただいたときには、心底驚きました。今回は個人の部で受賞しましたが、私一人ではなく、ソフトバンクの人事チーム全員でいただいた賞だと認識しています。受賞にあたって評価いただいたのは、ソフトバンクグループの後継者育成機関「ソフトバンクアカデミア」の立ち上げや、新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」の企画推進、HRテクノロジーを活用した採用など、ソフトバンクの人事として取り組んだ事例がメインです。私が行ったのは、人事部門がアグレッシブに取り組んできたさまざまなケーススタディを社内にとどめることなく、社外に発信したこと。ソフトバンクの人事チーム全員で取り組んだからこその結果だと思っています。
あらためて、源田さんのこれまでのキャリアについてお聞かせいただけますか。
私はもともと人事畑ではなく、営業畑にいた人間なんです。1998年、営業としてソフトバンクに入社しました。10年ほど経ったある日、「営業の人材育成を担う部門に異動してみないか」と打診されたのですが、まさに青天の霹靂(へきれき)でしたね。正直、営業が好きで結果も出しているのになぜ異動しなければならないのかと思い、「営業を続けたい」と主張したのですが、「このまま営業に残ったら、今の10倍の業績をあげられるか」と問われました。「営業として今の10倍稼ぐことは無理でも、自分より優秀な営業を10人以上育てたら、そのほうが会社への貢献になるのではないか」と言われました。その言葉で、人事の仕事にチャレンジすることを決意しました。
人事部門へ実際に異動してみて、いかがでしたか。
人事には、営業とはまた別の面白さがあると感じました。営業の仕事は、自分自身がどの程度会社に貢献できているかが明確です。どれだけのコストがかかって、どれだけの利益を生んでいるのかが数字でわかるわけですから。一方、人事の仕事は成果を定量化しにくい。ただ、定量的にあらわせないもののなかにこそ仕事の醍醐味(だいごみ)がありますし、成果や貢献度をいかにして測るのかという面白さもあります。研修や面談をきっかけに、仕事の楽しさに気づく人がどんどん増えていったり、キャリアの考え方が大きく変わって飛躍していく人が出てきたり、プロジェクトのキーポジションに適切な人材をアサインしたことで事業も人も大きく成長したり。採用や教育、異動、制度づくりなどを担う人事は、社員の人生に与える影響が大きいですよね。営業のときよりも、もっと“個人”に向き合う機会が増え、一人ひとりのキャリア開発や自己実現を応援していく楽しさを知りました。
また、「人事の仕事は事業戦略と密接につながっている」と気づいたことも大きかったと思います。ソフトバンクの人事のトップである青野は、「人事の仕事とは、人と事業をつなぐこと」だと常々言っていますが、経営理念や事業戦略を実現させるために、人と組織をどうつなぎ、どう支援できるかが私たちの腕のみせどころです。会社の事業戦略へのインパクトがとても大きなポジションだと思います。
人事の常識や社内の慣行、従来の手法にとらわれない人事施策
これまでの人事としてのキャリアのなかで、ご自身のターニングポイントとなった出来事はありますか。
たくさんあるのですが、まず思い浮かぶのは、「ソフトバンクユニバーシティ認定講師制度」の立ち上げです。
この続きは「日本の人事部 LEADERS(リーダーズ) Vol.8」でご覧になれます。
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