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特別インタビュー

誤解、偏見、思い込み!?
達人が教える“本当のダイバーシティ組織”とは

佐々木 かをりさん(株式会社イー・ウーマン代表取締役社長)

株式会社イー・ウーマン代表取締役社長 佐々木かをりさん

ダイバーシティと聞くと、反射的に「女性活用」「女性活躍推進」を連想する人事パーソンも少なくないでしょう。しかし、株式会社イー・ウーマン代表の佐々木かをりさんは「ダイバーシティは必ずしも女性活用を意味するわけではありません」とおっしゃいます。働く女性向けサイトの草分け「イー・ウーマン」を主宰し、20年間続く「国際女性ビジネス会議」の企画・開催にらつ腕をふるうかたわら、内閣府規制改革会議委員をはじめ、多くの政府審議会委員も務めている佐々木さん。女性活躍推進の先駆者が力説するだけに、一般的な見方を覆す“ダイバーシティ≠女性活用”という指摘には強い説得力を感じます。では、本当のダイバーシティとはいったい何を意味するのか、なぜそれが必要なのか――。佐々木さんに詳しいお話をうかがいました。

Profile

ささき・かをり/上智大学外国語学部比較文化学科卒業。米国ニューヨーク州エルマイラ大学に留学。2008年名誉文学博士号授与。 1987年、70言語対応の国際コミュニケーションのコンサルティング会社、株式会社ユニカルインターナショナルを設立。1996年からは毎年夏「国際女性ビジネス会議」を企画、実行委員長を務める。2000年株式会社イー・ウーマンを設立。Webサイト「イー・ウーマン」を通じて、スマートコンシュー マーの知恵を活用し、企業のブランドコンサルティング、コンセプト提案、商品開発などを行っている。2009年からは、表参道にて数々の講座提供および企業向け研修、講演アレンジメントも行っている。2013年、各分野で活躍する女性の講師、講演者、委員、女性社外役員などを紹介する「女性スピーカーズギルド」をスタート。テレビのコメンテーター、大学客員教授、各種政府審議会委員、上場企業などの社外取締役、社外監査役などを務める。著書は『必ず結果を出す人の伝える技術』(PHPビジネス新書)など多数。

なぜ必要?いまさら聞けないダイバーシティの意義とは

企業にはダイバーシティが必要と言われて久しく、すでに各企業でさまざまな取り組みが進んでいますが、いつ頃から、なぜ必要と言われるようになったのでしょう。

ダイバーシティとは「多様性」という意味です。それがなぜいま企業に必要なのか、ざっくりと言うと、多様性があるほうが健全だったり、安全だったり、また成長の可能性が大きかったりするからです。ただ、かつてはそうではありませんでした。これまで日本の社会では、ほとんどの組織において、ある特定の大学を卒業した、健康な日本人の男性たちがリーダーシップをとってきました。彼らは育った環境や家族構成も近いし、ある単一の共通する価値観の下に教育されてきたので、何かを決めたり、進めたりする際にはまさに以心伝心。あうんの呼吸で互いを察しつつ、スムーズに意思統一を図り、組織を引っ張っていきました。戦後、日本の驚異的な復興や力強い経済成長を導いたのは、この男性中心のネットワークのパワーだと、私は考えています。

多様性を排したからこそ、物事がうまく運んだというわけですね。

しかし戦後50年、60年が過ぎ、グローバル化、さらにはIT化の進捗により、それまでと同じでは経営を守れない、成長につながらないという現実が、いやでも見えてきました。いまや消費者が持てる情報量は増大し、そのライフスタイルも多様化しています。世界に広がるマーケットの中で、株主も労働者も国境を超えて流動化するようになりました。そうなると、これまで男性偏重の単一の価値観とネットワークで決めたり、進めたりしてうまくいっていたことも、うまくいかなくなってきます。経営に多様性を入れないと、日本企業はもう立ち行かないと言ってもいいでしょう。物事は、視点や見る角度によって、違って見えるのが当たり前。それなのに、特定の価値観に基づく特定の視点から、ある一面だけを見て、何かを決めたり、進めたりする経営手法は、決して健全ではなく、むしろ極めて危険だと言わざるをえません。なぜなら、消費者や株主はいまや360度、さまざまな角度にいて、企業を見ているからです。経営を多様化するとは、そうした多様な視点を組織に取り入れること。大切なのは「視点のダイバーシティ」であるというのが、私の考えです。

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