株式会社インヴィニオ 代表取締役/エデューサー
土井 哲氏
グローバル市場ですっかり存在感が薄れた日本企業。競争優位性の再構築に向けた変革の成否は、人事部門が、最大の資産である人材が持つ潜在能力をどこまで引き出せるかにかかっています。VUCAの時代を勝ち抜くために人事部門はどのような役割・機能を果たすべきか。欧米の人事部門にはあるのに日本企業では未確立であることが多いHRBPの機能という視点から、具体的なアプローチを示します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
人事を「戦略人事」に転換するパフォーマンス改善のための新たな手法=HRBPの核心部分である、組織設計のノウハウを紹介します。以下のような課題を抱えている企業の方はぜひ、ご参加ください。
・競争優位性が薄れており、市場で勝てなくなってきている
・方針や戦略を打ち出しても現場で実行に移されない
・デジタル・トランスフォーメーションは決めたが、その実現方法が見えていない
・組織間に壁があり、本来出せるはずのシナジーが創出されない
・中期経営計画未達が常態化している。
・業績を上げていくためにパフォーマンスマネジメント、タレントマネジメント、評価制度などの仕組みを一新したい
・働き方改革(仕事の削減)と業績向上を両立させたい。
・HRBPの機能を創設したい。すでにあるが、さらに強化したい。
・本社人事部門と海外人事部門との間で、あるいは事業部人事間で、これからの人事部門のあり方についてビジョンを共有し、共通言語を持ちたい。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
2010年以降、「組織開発」という言葉が企業の間に急速に広まりました。特に「対話」を促す取り組みが支持され、多くの企業で普及しましたが、対話を通じて関係の質が高まることで最終的に「結果の質が上がる=企業の業績が良くなる」と考えるのは楽観的過ぎるのではないでしょうか。みんなで車座に座って話し合いましょう、と現場目線で対話をスタートさせたところで、グローバル競争にさらされている日本企業の業績向上につながるとはとても思えません。
今回ご紹介するアプローチは真逆です。まず、経営者や事業部門長が実現したいと考えている成果、事業上のゴールの確認から始め、自社の競争優位性をどのように創るか、戦略の明確化を支援します。その戦略が確実に実行されるために開発すべき組織能力の特定と、その組織能力を具現化する日々の活動のデザイン、その活動を起こし定着させる業務プロセス、組織構造、情報、KPI、人材、評価基準、報酬など「組織」を構成する重要な要素。これらについて、人事部門の知見を総動員して効果的な議論を行い、順序だてて一つずつ決めていき、企業変革(トランスフォーメーション)を確実に前に進めていくことで、人事部が「なくてはならない存在=ビジネス・パートナー」になるためのアプローチです。
鍵は、「戦略」と「組織能力」と「組織の6要素」の整合性です。このアプローチをもって、戦略人事の実現へ向けた一歩を踏み出す一助となれば幸いです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
平成の30年間に日本企業の競争力は低下し、グローバル市場における存在感は薄れました。一方で企業の中を見てみると、「団塊の世代」の経営者層から「ゆとり・悟り世代」の若手まで、価値観の違う世代が入り混じり、組織の一体感は薄れています。このような状況下でも株主の期待に応えてパフォーマンスを上げていくには、新しいパラダイムが必要です。3年単位で作る中期経営計画、名誉職となっている「役員」、40歳代から始まる経営幹部としての育成など、旧来の慣行を破棄すべき時期に来ています。このセッションでは、有望な一つの打開策をご紹介します。自社の持つ潜在力を引き出し、成長をリードするために、人事部門が立ち上がるべきです。
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