[主催]『日本の人事部』(株式会社アイ・キュー)
[後援]厚生労働省 経済産業省 [会場]大手町サンケイプラザ
講演者インタビュー
企業理念を活かせば採用はうまくいく。組織成長のための多国籍採用と社内体制とは
株式会社モンスター・ラボ 人事部長
椎葉 育美氏
人材不足の時代に必須となってきた外国人採用。彼らは何に惹かれ企業を選ぶのでしょうか。モンスター・ラボ東京本社は12国籍の外国人人材を全体の約2割雇用し高い定着率を保っています。創業以来重視してきた弊社採用スタンスと、社内英語化を行わず外国人社員を組織に統合してきた実例、またさらなる組織成長のステップとして海外組織と日本との架け橋となる人材の育成方法についてお話します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
近年、人材不足を解決するために、外国人採用を行いたいと考える企業が増えています。一方で、「自分たちは日本語しか話せないので、受け入れは難しいのでは」「採用できたとしても、すぐに離職してしまうのでは」「そもそも外国人人材をどのように集めればよいのかがわからない」などの悩みを持つ企業も少なくありません。
モンスター・ラボは、社内公用語は日本語のまま、外国人人材を採用し、現在では東京160名の社員のうち、約2割を12ヵ国出身の外国人が占めています。創業10年ほどの日本企業が、なぜグローバルな人材を獲得することができたのか。そのヒントは、企業理念の活かし方にあります。
弊社は創業以来、「多様性を活かす仕組みを創る」「テクノロジーで世界を変える」という理念を主軸に事業を行い、人材を採用してきました。私たちの理念に共感し、共に事業を創り上げる意識を持つ人材に、国籍は関係ありません。日本人も外国人も、分け隔てなく仕事をする環境を創ることで、私たちは組織を成長させてきました。
本講演では、外国人採用における弊社の企業理念の活かし方・採用スタンスをご紹介しながら、日本にいる外国人を日本語で採用して組織に統合してきた経験や、日本語にこだわる理由、実際の社内体制についてお伝えします。また、日本人材だけでは数を補えないような事業成長のために海外組織と協業する際に必要なブリッジ人材育成スキームについてもお話しします。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
外国人と日本人が当たり前に一緒に働くことを通して組織を成長させてきた経験は、失敗や困難だったことも含めて弊社の強みだと考えています。
日本人と外国人が分け隔てなく働く企業であることには、多くのメリットがあります。たとえば、採用活動において弊社の魅力として捉えられたこと、そして、社員に新しい知見がもたらされたことです。
弊社の規模からすると、非常に短期間で複数の海外拠点創設を実現できたことも、この組織体制が理由の一つだと考えています。現在、私たちは世界9ヵ国900名体制で、国境をまたいで事業を行っていますが、外国人と働くことに躊躇のない文化を本社に築くことがそのような事業戦略を可能にしてきたのです。
もちろん、まだ完璧な環境を築いているとは言い難く、奮闘途中ですが、組織形成の方法の一つとして、経験をお伝えします。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
弊社社員の多くに共通しているのは、「多様な人材と働くことができる会社」に所属することを魅力に感じていることです。会社のミッションとしても「多様性を活かす仕組みを創る」を掲げていますが、このような社員たちが人材不足の補充という観点を越えて、一人ひとりの成長や組織と事業の発展を担ってくれていることを日々実感しています。
人材不足からリードされた外国人社員・組織の必然性は、言い換えればより大きな人材市場へのリーチを促し、組織に新しい風を吹き込むチャンスでもあります。
私たちの経験が、皆さまの課題や不安解決の一助となれば、うれしく思います。
- 椎葉 育美氏(しいば いくみ)
- 株式会社モンスター・ラボ 人事部長
- 2008年上智大学大学院卒業。在日本リトアニア大使館広報担当官、外資系ホテルチェーンカールソン・レジドールグループ傘下ホテルの広報・マーケティング責任者を経たのち、モンスター・ラボに2015年広報として入社、サービス開発事業部マーケティング責任者を経て2017年2月より人事部長に就任。
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