――　今回の講演のポイントについて、お聞かせください。

2025年のHRM。VUCAという言葉を使うまでもなく、変化対応力の有無が企業の命運を決めることでしょう。企業は必然的に分割化・個別化を進めながらも、一方で、自律の度合を高めた個人をどう束ねるかに苦心します。この古くて新しい組織と個人のせめぎ合いを吸収する場、それが職場です。

職場は、企業目標からブレイクダウンされた一つの役割単位として組織図に記載されます。しかし、組織図はある一時点での最適を志向した静的なものであり、変化の最前線で対峙する組織としては、いささか心もとない感じがします。これからの職場は、静的なものではなく動的なものになり、メンバーの行動も規定された役割を遂行する受動的なものではなく、自らの役割を柔軟に変えていく能動的なものになります。組織図で規定された静的で無機的な職場を、しなやかで血の通った有機的なチームにする必要があるのです。

職場をチームにするために、三つのことが必要だと考えます。(1)メンバー間の関係の質が高いこと、(2)チームとしての経験学習が継続すること、(3)企業の資源を有効に活用すること。マネジャーはこれら三つのことを実現し、職場をチームにすることが求められます。“I”でも“You”でもなく“We”を主語に「私たちはどうすれば良いか？」と問いを発し、メンバー間の相互信頼を形成し、お互いを活かし合い、ONE TEAMとしての調和を保つのです。

――　貴社の強みや特徴について、お聞かせください。

ブリコルールとは、ブリコラージュする職人のこと。ブリコラージュとは、その場にあるものを丁寧に活かし、工夫して新しいものをつくりだす営み。

組織や人に関する問題は、ますます複雑化・多様化しています。一方で、その対応には、どこかにいるかもしれない英雄待望論や、別の場所で成功したベストプラクティス模倣論が幅をきかせているように感じます。自分たちではない誰か、自分たちにはない何かに依存してしまう組織。
私たちは、複雑化・多様化した問題への対応に魔法は存在しないと考えます。

必要なのは、自分たちが持つ力や組織に備わる資源を、試行錯誤しながら活かし、その経験から学び、知恵を生み、巡らせること。自分たちの問題は、自分たちで考え、自分たちで解決するという、知恵を生み出す組織。

私たちは、そんな創発力を備えた職場や人材を、クライアントの皆さまとブリコラージュしてつくり出すことを使命として生まれました。

――　講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

会社は変わろうとし、一人ひとりも変わろうとしています。では、それらをつなぐ「それぞれの職場」はどうでしょうか？　困惑していないでしょうか？　あきらめたり、うまくいかないことを誰かのせいにしたままになっていないでしょうか？

・互いのつながりが感じられる職場へ
・学びや気づきに溢れ成長する職場へ
・会社のビジョンに貢献している手ごたえがある職場へ
そんな場づくりで会社と人を支えてきた、私たちブリコルールのアプローチをぜひ、のぞいてみてください。皆さまが理想とする職場像をイメージしながら、参加していただければ幸いです。

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