[会場]大手町サンケイプラザ [後援]厚生労働省
講演者インタビュー
企業の人材採用に役立つICEルーブリック
帝京大学 高等教育開発センター長・教授/主体的学び研究所 顧問
土持 ゲーリー 法一氏
メディアサイト株式会社の主体的学び研究所は、資質能力を評価することができ、人材の効果的な配置転換にも活用できるツール「ICEルーブリック」の普及に努めています。企業がこのツールを活用することで、大学名ではなく学生が持つ潜在的能力を重視した人材採用が可能と考えています。本講演では、主体的学び研究所顧問の土持ゲーリー法一氏がICEルーブリックの有用性についてお話しします。(協賛/メディアサイト株式会社)
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
本講演では、人事採用で学生の潜在的能力をどのように測定できるのかを、ICEルーブリックの事例を通じてご紹介します。
2012年に中央教育審議会答申を踏まえ、学習到達度を示す評価基準の表であるルーブリックが紹介されました。しかし、これはパフォーマンス評価として効果がある反面、可視化された「氷山の一角」に過ぎず、問題がありました。
そこで一躍注目されたのが、カナダ・クイーンズ大学で開発されたICEルーブリックです。ICE とは、Ideas(基礎知識・情報)、Connections(関連づけ)、Extensions(応用・開発)の頭文字。学生の資質能力をICEのエリアごとに分類でき、企業ニーズや人材の効果的な配置転換にも役立ちます。日本では医療・看護系大学で導入されていますが、まだ限定的です。ICEルーブリックを企業の人事採用ツールに適用すれば、資質能力を評価し有望な人材の確保につながると考られます。
主体的学び研究所・メディアサイト社はクイーンズ大学と提携し、ICEモデルとICEルーブリックの普及に努めています。ICEモデルは主体的な学びを促進するツールとして、高校や大学に導入されています。基礎知識をどのように関連づけ、応用・開発につなげるかという一連の思考は資質能力を高める学びだからです。企業の人事採用を大学のブランド名ではなく、学生の資質能力の評価へと転換できるのです。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
私は、大学で教員の授業改善に携わるファカルティ・ディベロップメントのコンサルタントに従事しており、教員の資質を自己評価するティーチング・ポートフォリオや学生の学習プロセスを自己評価するラーニング・ポートフォリオに関する著書があります。また、ICEモデルやICEルーブリックを高校や大学で普及する事業に携わっています。主体的学び研究所では、メディアサイト社の「マイメディアサイト」ITソフトを活用して、ICEモデルやICEルーブリックを用いて反転授業の研修を行っています。このような経験を企業現場で活かされることを期待しています。
※メディアサイト社が提供するMediasiteシステムは、動画を主体とした収録配信システムとして、世界65ヵ国3800ユーザーに導入されている、世界シェアNo.1システムです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
私は、「大社連携」(造語)を提唱しており、大学と社会の連携が不可欠であると考えています。大学が活性化し、より良い学生を排出するには企業からの厳しい「目」が必要不可欠。実際、アメリカの大学ランキングには企業や社会からの評価が反映されます。また、シンガポール・マネジメント大学では、教員・学生・企業が三位一体となって、カリキュラムはもとより、企業のプロジェクトへの参加、さらに、採用までつなげています。
大学のブランド名ではなく学生の潜在的能力の開発に関心のある、チャレンジングな人事担当者の皆さまのご参加をお待ちしております。講演者からの一方的なメッセージばかりではなく、参加された皆さまとの双方向による対話を実現したいと考えています。
- 土持 ゲーリー 法一氏(つちもち げーりー ほういち)
- 帝京大学 高等教育開発センター長・教授/主体的学び研究所 顧問
- コロンビア大学大学院ティーチャーズ・カレッジ比較・国際教育学 教育学博士 (Ed.D.) 取得。東京大学 教育学博士 取得。国立大学法人弘前大学21世紀教育センター教授を経て現職。専門分野は戦後教育改革史、比較教育学、大学教授法(FD)。論文「ICEルーブリック~批判的思考力を伸ばす新たな評価方法~」ほか。
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