講演者インタビュー

――　今回の講演のポイントについて、お聞かせください。

藤原：360度フィードバックは、“360度評価”“多面評価”と呼ばれることが多いため、人事評価の仕組みであると思い込んでいる人もまだ多くいらっしゃるようです。また、導入したものの、必ずしも期待通りの効果を上げられていない企業の話を聞くことも多くあります。

360度フィードバックの本質は、対象者へ周囲からのアドバイスや励ましをフィードバックすることで“気づき“や“やる気”、“変わるきっかけ”を与え、意識改革や行動改善につなげていくことです。この本質を理解していないと、「360度フィードバックに対する食わず嫌い」を続けてしまったり、また、単に実施して結果報告書を本人に返却するだけという効果が上がらない使い方になってしまいます。

今回の講演で一緒にご登壇いただくJT（R&D部門）様とソフトバンク様は、実施の目的や内容・方法は異なっています。しかし、継続的に実施されていること、そして目的や課題に応じて毎回工夫を加えることで実施内容を進化されている点では共通しています。両社とも現場活力ある企業であり、工夫を講じた実施内容は、多くの企業にとって参考になることも多いでしょう。当日は、両社の事例紹介だけではなく、360度フィードバックに関する新しい活用方法の紹介や、登壇者による本音トークなどもできればと考えています。

――　貴社の強みや特徴について、お聞かせください。

藤原：360度フィードバックの拡販リーダーを務めていた前職（現リクルートマネジメントソリューションズ）時代での実績も含めると、この20年間で導入支援した企業はゆうに200社を超えています。弊社としても、年間約12,000名（2013年度実績）の管理職を対象に360度フィードバックを提供しています。それら多くの実績を通じて、「有効活用のポイント」「実施効果が出ない原因、または失敗する原因」などを知り得ていることが弊社の強みと言えます。

また弊社の特徴は、各企業における実施目的や現在の人事上の課題を踏まえて、設問、フィードバック方法など、“オーダーメード”にこだわることにあります。人材マネジメントの一手法である360度フィードバックを、各企業に最適なやり方でご活用いただくことに注力している「360度フィードバックに特化した専門会社」です。

――　講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

藤原：管理職のマネジメント行動が、部下や組織全体に与える影響は大きいと言えます。しかし、一般的なマネジメント研修を実施するだけでは、研修の満足度は高かったとしても、実際の現場での行動はなかなか変わりません。管理職自身に、当事者意識を持って自分の行動の問題を捉えさせないと、現場での行動変化は生じないと言えるでしょう。

360度フィードバックは、刺激の大きい手法であるために、管理職の意識改革に適しています。誤った使い方をせず、上手く活用することで、意識改革のみならず、実際の現場での行動改善や組織の活性化の実現に高い効果を発揮するでしょう。この講演を通じて、その可能性を感じていただければ嬉しく思います。