一般社団法人中部産業連盟 人材マネジメントコンサルティング部 部長 上席主任コンサルタント
梶屋 宣之氏
ニューノーマル時代ではリモート運用方法やコミュニケーションの習熟などにとどまらず、自律した個人の育成と相互の信頼関係の形成が重要です。本講演では、組織の価値観や期待行動を共有しエンゲージメントを高めるイノベーティブな組織創りのポイントと、それを支えるためのリアルタイムフィードバックの活用方法を解説します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
ニューノーマル時代では在宅勤務やリモートによるコミュニケーションが増え、組織運営に不安を抱く企業が多くなっています。このような環境の中、いかに相互の信頼関係を維持し、モチベーションを保っていけばいいのか、また、在宅などで個人の生産性が低下してしまうのではないかと不安を感じている人事部門の方々が多いのではないでしょうか。
リモート運用方法の習熟やコミュニケーションの取り方といった課題は大切ですが、それだけでは根本的な解決には至りません。ニューノーマル時代に求められるのは、自律した個人と相互の信頼関係の形成です。これらを構築するためには組織の価値観や期待行動を心の底から共有し、エンゲージメントを高めることが重要です。いかにしてニューノーマル時代においても活性化されたイノベーティブな組織づくりを目指すか。組織改革の進め方とその運用方法を模索している皆さまに、有益なヒントをご提供できればと考えています。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
ニューノーマル下ではオンラインや在宅勤務が増え、社員の気持ちがバラバラになってしまうのではないかという組織課題が生じます。このような状況下でこそ『全社員が自ら役割を自律的に遂行する組織風土創り』が大切です。
自律的な組織と個人を創るには、(1)価値観を共有するための組織風土改革、(2)真のコミュニケーションを促進する仕組みの2本柱が必要と考えます。
(1)組織風土改革では、全社員が意識を変え、主体的に課題に対峙することが根本となります。
その重要なポイントは、以下のとおりです。
1)数ヵ月をかけてのグループワークで会社や組織に対する本音を吐露することで問題意識の共有を図る。
2)形式的な活動ではなく本音で語り合うことで心の底から問題や価値観を共有する。
3)共有された価値観をベースに自ら行動することで高いエンゲージメントを築くこと。
(2)真のコミュニケーションの促進では、「リアルタイムフィードバック」を推奨しています。決して表面的な対話に終わらず、本音でコミュニケーションを図ることは実際の仕事や課題を通してのみ実現されます。変化の著しい環境下では次々に取り組むべき課題が生じます。タイミングを逸することなく課題を週間単位で振り返り、上司と部下さらにはチームメンバーがそのチャレンジ状況を共有していくことが重要です。
これらを通して、ニューノーマルにおける自律した行動に焦点を当てたアプローチ方法を考察します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
コロナ禍という未曽有の危機の中で、苦労を強いられた企業は多いかと思います。この災禍が過ぎ去ることを、座して待つことはできません。むしろ変化を受け入れて適応し、さらには組織をより強いものに変革していきたいとの思いで今回の講演に臨みます。
真に生産性の高い組織とは管理の行き届いた組織ではなく、個々人が同じ価値観を持って自律的に役割を遂行する自由度の高い組織であると考えています。さらに多様な人材を受け入れて共に協創していくためには、会社と個人が共に目指すべき目的を共有してエンゲージメントを高めることが大切です。今回の講演がそのような自律した組織づくりで新たな常態を乗り越えるためのヒントになれば幸いです。
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