開催10回に寄せて選考委員からのメッセージ・坂東眞理子氏
- 日本の人事部「HRアワード」トップ
- 開催10回に寄せて
- 選考委員からのメッセージ・坂東眞理子氏
選考委員からのメッセージ
坂東 眞理子氏(学校法人昭和女子大学 理事長・総長)
プロフィール●(ばんどう・まりこ)1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。婦人問題担当室(現男女共同参画局)で日本初の「婦人白書」を執筆。2001年に男女共同参画局長。2003年 昭和女子大学理事、2007年 学長(~2016年3月まで)、2014年 理事長兼務。2016年から現職。2019年から一般財団法人東京学校支援機構 理事長を務める。『女性の品格』(PHP新書)は300万部を超える超ベストセラーとなった。近著に『幸せな人生のつくり方』(祥伝社)がある。
「HRアワード」第10回開催おめでとうございます。日本の組織、働き方が大きく変わる時期に、このアワードがHR課題に携わる方々の意識と行動を豊かにするうえで大きな影響を与えてこられました。
失われた30年の中で、従業員に優しく社会の長期安定をつくり出したとされるメンバーシップ型の日本的組織の限界が明らかになっています。アメリカだけでなくヨーロッパや中国にも差をつけられた日本経済の活性化のためには、組織と人財の活性化が不可欠です。
そのためには個々の社員のモチベーションを高め、創意やエネルギーを引き出し高い専門性を持って働けることが期待されます。職場のあり方と働き方、そこでの人間的な交流と達成感は、経済の活性化のためだけでなく、一人ひとりの人生の充実と幸せのために極めて重要な要素です。それを認識し、新しい価値を体現するリーダーのあり方を提示するうえで、受賞者の方々は大きな役割を果たされただけでなく、学生たちの将来のキャリア設計にも大きな影響を与えています。
HR関係者の中では自主性の尊重、人権への配慮、女性やマイノリティの人達への公平な処遇をする必要性が十分に意識されるようになってきていますが、日本企業や組織全体には浸透しておらず、社会実装には至っていないといわざるを得ません。労働法制、社会保障政策・制度、そして労働判例なども含め社会全体での一段の取り組みが求められています。「HRアワード」の益々のご発展をお祈りします。